ゲタ対策 対象者「減」、支払額「増」-27年度実績2016年7月21日
農林水産省は27年度の経営所得安定対策の全国支払実績(28年4月末時点)をとりまとめ7月19日に公表した。畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)は要件の変更で対象者が大幅に減ったが、支払額は増加した。
諸外国との生産条件の格差がある麦、大豆など畑作物を対象に「標準的な生産費」と「標準的な販売価格」との差額分を直接交付するゲタ対策は、27年度から対象者を認定農業者、集落営農、認定新規就農者に絞った。
このため26年度には交付対象だった非担い手農業者約3万2000件が対象とならず、支払対象者は26年度の約6万9000件から27年度は約4万4900件と大きく減った。
ただし、支払額は254億円増加し2113億円となった。作付計画面積も8000ha増加し49万4000haとなった。担い手への農地集約が進み、作付け面積も増えたとみられる。
支払数量は26年産より作柄が良好だった品目が多かったことから29万5000t増加して580万5000tとなった。
作物別には麦=107万1000t、大豆=21万3000t、てん菜=370万9000t、でん粉原料用ばれいしょ=78万t、そば=2万9000t、なたね=3000tだった。二条大麦、はだか麦、でん粉原料用ばれいしょ以外は前年度より支払数量が増えた。
◇飼料用米 平均単収555kg
水田活用の直接支払交付金の支払額は3048億円で26年度より550億円増加した。対象者数は47万8000件で1万8000件減少した。法人は971増え9931、集落営農は63増え6503が支払対象となったが、個人が1万9000件減少したことから全体として減少した。
ただ、支払い面積は55万5000haと6万4000ha増加した。
作物別には麦=17万1000ha(前年度比+3000ha)、大豆=11万3000ha(同+7000ha)、飼料作物=10万3000ha(同1000ha)、新規需要米=12万2000ha(同5万4000ha)、加工用米=4万6000ha(同▲2000ha)となった。 新規需要米は主食用米の需給環境改善に向けた作付け転換に取り組み、WCS用稲、米粉用米、飼料用米の3品目すべてで作付けが増加した。
米粉用米と数量払い分は、▽面積=4000ha(同+1000ha)、▽数量=2万3000t(同+5000t)、▽平均単収=539kg/10aとなった。
飼料用米の数量支払い分は、▽面積=7万8000ha(同+4万5000ha)、▽数量=43万2000t(同+25万t)、▽平均単収=555kg/10aとなった。 27年産は主食用米から飼料用米などへの作付け転換が進み、生産数量の配分が始まって以来初めて主食用米の過剰作付けが解消された。
そのため米の直接支払い交付金(10aあたり7500円、29年産まで)の支払額は715億円で32億円減少した。対象者は82万件で5万8000件減少した。支払面積は95万3000haで4万3000ha減少した。
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