韓国の生産資材価格を調査 日本農業法人協会2016年8月10日
(公社)日本農業法人協会は、韓国の生産資材価格について調査し、その結果を9日に公表した。
調査したのは肥料、農薬、農業機械の3分野で、韓国慶尚北道金泉市(ソウルから約250km南部)の金泉農協資材財販売店(肥料・農薬)や農機販売店などで、7月4日から6日に実施された。
調査対象は、肥料についてNPK成分が日本製品とほぼ同じで、価格比較ができる9製品、農薬については有効成分量が日本製品とほぼ同じで価格比較ができる15製品(除草剤4、殺菌剤6、殺虫剤5)、農業機械はクボタ、ヤンマーの農機の日本での小売価格と、クボタの韓国での小売価格、デドン、クッチェの小売価格との比較となっている。
肥料の韓国での販売価格は、「平均で日本の半分程度」となっている。
農薬については、「日本の三分の一程度」となっている。
こうした結果についてこの報告書の「総括」では要旨次のように述べている。
農薬については、政府が各地域の農薬価格を調査しインターネットで公表するなど「見える化」が行われている。
農薬管理法による規制があるが、ジェネリック農薬の登録は簡単にでき、価格低減につながっている。
肥料については、登録が肥料管理法による規制があるが、日本に比べて規制は緩く、価格低減につながっている。また、肥料についての調査結果では、「日本ではNPKの各成分量がそれぞれ保証成分量を超えていなければならないが、韓国はNPKの成分の一部が保証成分量を下回っていても、NPKの成分の合計量が保証成分量を超えていれば良い」とか、「日本のような地域独自銘柄はなかった」としている。
肥料・農薬の流通については、「農業団体は、銘柄を絞った大量購買による競争原理の導入やメーカーからの直接購買に加え、低いマージン設定を行っている。この結果、生産者が入手できる価格が日本よりも安くなっている」としている。
また、農業機械については「基本仕様がシンプルで型式数が少ないうえ、汎用的な部品は低コスト部品が導入されるなど、販売価格の低減が図られている」としている。
調査国として韓国を選んだのは、「隣国で似たような農業形態」だからだという。
この調査をみていくつか気づいた点をあげておきたい。
一つは、単純にほぼ同等な製品での日韓価格比較であって、各製品の販売量(製造量)は調査されていない。農薬では、韓国の製品のどれがジェネリックであるかは確認されていないので、単純に価格比較することは難しいのではないかと想定されるが、ジェネリック農薬については、日本では登録のためのデータ作成などに、オリジナル製品とほぼ同じ金額が必要であり、登録システムの改定などを全農は求めており、生産コストを抑制するためには、大事なことではないかとこの調査結果から読み取ることができる。
また、あくまでも価格比較であって、品質の比較(日本の産地でも、日本製品と同等に使用できるのかなど)は検討されていない。
農業団体がロットをまとめメーカーと直接交渉していることも韓国で資材価格が安い要因と指摘されているが、肥料や農薬でJAグループがそうした役割を果たすことは可能(全農がある程度そういう役割を果たしているといえるが)であり、生産者がそこへ集中できるかどうかが大事ではないかという感想をもった。
生産資材価格について、さまざまな問題提起がされ議論されているが、そのなかで生産者の団体である農業法人協会のこの調査が、有効に活かされることを期待したい。
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