耐震不足ため池2400超-農水省の点検結果2016年9月5日
農林水産省は25年度から27年度までの3年間実施したため池一斉点検結果を8月末に公表した。点検した防災重点ため池1万1000か所のうち、約3300か所が詳細調査の優先度が高いという。また、耐震調査を実施した約3000のため池のうち、1800か所で耐震不足が確認された。
5年前の東日本大震災で福島県では、ため池が決壊して死者・行方不明者8人を出し住宅、農地への被害が起きた。また、近年、豪雨被害が頻発していることなどから、農水省は平成25年度から27年度までの3年間で全国のため池一斉調査を実施してきた。
農水省によると、わが国のため池の7割は江戸時代以前に築造され、平成26年には約20万か所ある。降水量が少なく大きな河川もない地域で造られ、西日本地域が多い。もっとも多いのは兵庫県で約4万3000と全国の約2割を占める。ついで広島県(約1万9000)、香川県(約1万4000)などとなっている。
今回の調査対象は、下流に住宅や公共施設があり決壊した場合に影響が出るおそれのある防災重点ため池と受益面積0.5ha以上のため池の計9万6074か所。
点検はため池の構造(堤体の土質や老朽度、緊急放流施設の有無など)や周辺環境、下流状況などを目視と資料などで実施した。その結果、防災重点ため池1万1318か所のうち、詳細な調査の優先度が高いため池は3391か所とされた。このうち1147か所では耐震調査が実施されており、776か所が耐震不足であることが判明した。
また、耐震調査については今回の一斉点検とは別にすでに4514か所のため池で実施されおり、防災重点ため池では前述の776か所を含めて1837か所、防災重点以外では615か所の計2452か所が耐震不足であることが分かった。
防災重点ため池のうちハザードマップを作成しているのは4357か所、うち公表しているのが3248か所だった。ハザードマップは平成32年度までにすべての防災重点ため池で作成することになっており、農水省は引き続き作成・公表を地方公共団体に働きかけていく。
また、今回の点検結果をふまえ、詳細な調査の優先度が高い防災重点ため池を中心に今後5年をめどに追加調査を実施するほか、耐震不足が確認されたため池については補正予算等を活用して整備を加速する方針だ。
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