TPP批准させない!8000人が集会とデモ2016年10月17日
「TPPを批准させない! 全国共同行動」は10月15日に東京都内で中央集会を開いた。全国から8000人が参加、政府が臨時国会で批准しようとしているTPP協定に対して疑問や問題点を指摘して「TPP批准断固阻止を」と怒りの声を挙げた。集会後は都内をデモ行進し、銀座などで「米を守れ」、「TPPは地域を壊す」、「批准は絶対反対」と道行く人々に訴えた。
「無傷な農産物はひとつもない」に怒りの声 農業団体や消費者、労働組合などで構成する「TPPを批准させない! 全国共同行動」には10月13日現在で270団体が賛同している。JAやJA労組も多く賛同団体になっており、地域では消費者の連携を強めて地道にTPP阻止批准に向けた運動が続けられていることが示された。
集会では呼びかけ人を代表して山根香織主婦連参与があいさつ。森山前農相が先に通常国会で「農産物で無傷なものは一つもないことを認めた。協定文ではやがて関税撤廃も決まっている。食の安全への懸念ははかりしれない。国民を守る法律、制度もどんどん壊される」などTPP協定の問題を指摘。「十分な説明もないまま、批准は許せない。あのときにもっと止めておけば、と思いたくない。何としても批准阻止をかちとろう」と呼びかけた。野党代表者もかけつけた。TPP参加国で批准手続きは進んでおらず「世界の流れを見ても批准はおかしい。なぜ日本だけ前のめりなのか。国のかたちを壊してしまうTPPは断固阻止しかない」などと訴えた。
賛同団体もアピール。北海道で大学生など若者が中心で活動している「Anti-TPP Hokkaido」の代表者は、この夏の台風被害で被災農家にボランティア支援でかけつけると「農家は笑顔で前向きにがんばっていた。北海道の食と農、雇用を守るため批准阻止は義務だと思った。私たちの未来を守るため何としても阻止を」と訴えた。
日本協同組合学会は学会としてTPP批准に反対を決めた。同学会長の石田正昭龍谷大教授は「TPPは人々のいのちと暮らしを脅かす。あらゆる協同組合に重大な影響を与える。また、日本が加害者になって途上国に被害を与えるのではないかという点も反対の理由だ」と強調した。
福島県農民連の代表は、SBS輸入米で調整金が存在することが発覚したことを指摘し「米価暴落の原因は調整金にあったのか。福島では原発事故で畑も荒れている。無責任な政治に怒りを覚える」と訴えた。
岩手県生協連の吉田敏恵専務は「5年前の津波被害からやっと立ち上がったと思ったら、今度は台風で山から津波のような土砂。やられてもやられても食を作るのは私たちだと農家はがんばっている。自国の食料を自分でつくる国にしなければならない」と呼びかけた。 吉田専務によるとJAも加わって構成している岩手県の食と農のネットワークではTPP協定とその関連法案の臨時国会での批准阻止をめざした署名運動などを展開しているが、県内7JAすべての組合長が臨時国会での批准反対を表明しているという。
集会では海外の情勢も報告された。
米国では大統領候補が2人ともTPP反対を表明しているが、国内ではTPPによる雇用喪失とISDS条項によって米国政府が日本企業から提訴されるなど、主権が脅かされるのではないかとの懸念が広がっているという。また、豪州議会の上院はすべての貿易協定でISDS条項を禁止するという動機が提出されたという。
呼びかけ人の山田正彦元農相は渡米して民主党の大統領候補に立候補し格差社会の問題を訴えてきたバーニー・サンダース氏と懇談したことを紹介し「米国でもさらに格差社会となることに対してTPPに反対している。絶対に強行採決させてはならない」と訴えた。 集会ではアピールを採択。「情報開示も十分な審議もないまま、TPP協定の批准を今国会で強行することは絶対に反対」だとして力を合わせることを呼びかけた。
SBS輸入米問題究明を
デモでは「TPP参加は亡国の道」「輸入米価偽装、究明を」、「米を守れ」、「TPP 無関心でも無関係ではない!」、「TPPなしで行こう」「TPP みんなの問題」など、それぞれの怒りや想いを込めたプラカードを手にデモをした。
(集会アピール文全文) 安倍内閣は、私たちの命や食、暮らし、地域を脅かすだけでなく、参加各国の人権も主権も踏みにじる恐れの強いTPP(環太平洋経済連携協定)と関連法案を、この臨時国会で批准・成立させようとしています。
しかし、農林水産大臣が「重要農産品で無傷なものはーつもない」と認めたように、この協定は「TPP断固反対」とした自らの公約にも「重要農産品の交渉除外」を求めた国会決議にも反することが明らかです。
また、先の通常国会では、「黒塗り資料」に象徴される政府の秘密主義が厳しい批判を浴びました。今臨時国会冒頭でも、TPP影響試算の根拠を失わせる輸入米価格の偽装や、協定文の誤訳などが次々に明らかになり、審議の前提が崩れていると言わざるをえません。
協定の内容が多くの国民に知らされず、さらにアメリカをはじめ参加各国の承認手続きも不透明さを増すなかで、いま、日本が批准を急ぐ理由はありません。交渉経過を含めて情報をしっかり開示して、文字通り国会を含めた国民的議論に付すべきです。また、国会議員は自らの責任で行った国会決議を守るため、全力を挙げるべきです。
私たちは、情報開示も十分な審議もないまま、TPP協定の批准を今国会で強行することには絶対に反対です。
全国のみなさん!TPP協定を批准させないため、力を合わせましょう!
2016年10月15日
TPPを批准させない!10.15 一万人行動・中央集会
(写真)TPPストップを訴えた中央集会 10月15日東京・港区の芝公園で。芝公園から新橋、銀座を通り東京駅までデモ。(複数)TPPの問題点をプラカードでアピール
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