GISで農家所得の増大を(下) 東京農大農協研究部会・GIS部会2016年11月14日
◆JAが新規就農定着化をサポート
また、JAの実践を報告したJA信州うえだの前組合長・芳坂氏は農協改革の第一は職員の意識改革と考え、理事会のなかに「農づくり」、「くらしづくり」、「JAづくり」の3委員会を設け、組織もこの3つの本部制に改組。その上で「共感をつくる」を加え「4つのつくる」を基本方針とした。
このなかで「農をつくる」は農業所得の増大を基本とし、現在の91億円の販売額を平成33年には100億円にする。このため、(1)作物別・重点品目別の農業支援プランの設定と中心的担い手への集中支援、(2)出向く体制による指導・相談体制の強化、(3)高品質・こだわり生産品等、消費者ニーズに応える生産者のグルーピングなどを挙げる。
同氏は、組合員の世代交代、JAと組合員との関係希薄化の中で、5年、10年後の地域農業、JAのビジョンを明確にし、「古い慣例や習慣にとらわれない新しいこと」に挑戦すべきだと指摘。その場合、「すべての原点である協同組合は必ず守らなければならない大前提だ」と、協同組合組織を維持することの大切さを強調した。
JA信州うえだは、自己改革の一つとして新規就農・定着化支援のための子会社(有)信州うえだファームを持っている。約73㌶で水稲、野菜、果樹を栽培し、JA自らが農業経営を行って地域の担い手になるとともに、地域に対するさまざまな波及効果を期待している。耕作放棄地の解消、樹園地の継承、6次産業化など多様な事業を営むが、特に重点事業としているのが担い手育成の支援だ。
平成21年から研修生を受け入れ、31名のうち11名が独立就農し、現在15名が研修中。研修生は社員として扱い、月13万円を支給する。船田常務はJA出資の農業生産法人について、「単なる農業経営の担い手ではなく、地域農業の担い手から守り手、そして攻め手と、さまざまな役割が求められている。JAをはじめ関係機関と連携して地域農業維持発展に努めなければならない」と話した。
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