発生農場 近隣ため池に水鳥-鳥インフル疫学調査2016年12月7日
青森県と新潟県の高病原性鳥インフルエンザ発生農場への疫学調査チームの調査結果では、いずれも発生農場の近隣にため池があり水鳥の飛来が確認されている。
発生確認後、農水省の疫学調査チームが調査した。
青森県青森市の発生農場(1例目)は平野部の丘陵際にあり、沼地やため池、水田、雑木林に囲まれ、農場管理人によると今シーズンもため池にカモの飛来が確認されているという。農場周辺は人や車の通行はほぼなく、管理人と従業員(7人)は家きん舎への出入りにあたり、踏み込み消毒槽を用いた長靴の消毒を実施しているほか、軽トラやショベルローダーは動力噴霧で消毒を行っている。
飼料タンク上部には蓋で塞がれており、調査チームは野鳥の接触や糞の混入の可能性は低いと考えたという。給与水もくみ上げた地下水を塩素消毒して供給している。糞は敷料とともに農場の敷地内に蓄積され、数か月かけて堆肥化、業者によって搬出されている。
野鳥・野生動物対策は家きん舎を二重の金網で囲み、その外側にロールカーテンも設置されている。ロールカーテンは冬期は原則として降ろされているが、朝は空気の入れ替えのために開けられるという。
家きん舎建物の基礎部分に幅3~4cm、長さ30~40cmのひび割れが認められたが、農場では家きん舎内に侵入した小型野鳥を見たことはないという。ただ、ネズミ対策として家きん舎内に殺鼠剤を混ぜた餌などを設置しており、調査時にはネズミの死骸や生きた個体が確認されたという。
新潟県関川村の発生農場も山林に囲まれため池に隣接している。調査時にため池に数種類のカモ類約500羽が確認された。
30名の従業員は農場出入り口にある施設で更衣・履き替えを行っている。
飼料タンク上部は蓋で閉じられており野鳥の接触や糞の混入の可能性は低いと考えられた。車両の出入りでは、消毒槽と下部・側部からの噴霧で消毒を行っている。
同農場では鶏舎ごとにオールイン・オールアウトを行っており、オールアウトのつど、内部の消毒を行っているという。
高床式鶏舎は、外側からロールカーテン、金網、ビニールカーテンが設置されており、日常的にロールカーテンの開閉を行っているという。発生農場全体としては野鳥等の侵入防止は図られていたが、調査時には鶏舎を含む金網の破れなど野鳥や野生動物が侵入できそうな所も確認された。管理人によると発生農場の敷地内ではキツネ、イタチ、ネズミ、スズメ、カラスなどの野生動物が確認されており、鶏舎内にも侵入しているという。
上越市の農場も周囲に湖沼が散在し、敷地内にもため池がある。調査時に敷地内のため池に鳥は確認されなかったが、近隣の湖沼ではハクチョウ、ガン、カモ類が3000羽以上確認された。
30人の従業員は事務所横の更衣室で更衣・履き替えを行って農場に入っている。飼料タンク上部は蓋で閉じられ、農場に出入りする車両は消毒槽と下部・側部から噴霧で消毒を行っている。鶏舎ごとにオールイン・オールアウトを実施しており、オールアウトのつど内部消毒を行っている。
10棟の鶏舎のうち1棟はウインドレスで残りの開放鶏舎には外側からロールカーテン、金網が設置されている。農場全体としては野鳥等の侵入防止は図られていたが、金網の破れや壁の破損などが確認され、調査時にはスズメの鶏舎への侵入が確認された。また、管理人によると農場内ではタヌキ、農場内ため池ではカモが確認されているという。
3つの農場に共通するのは近隣に水鳥の飛来するため池が存在することと、侵入防止策をとっていても小型動物が侵入していることだ。農水省は今後も調査を続けるが、水鳥と小動物が感染を媒介したことも考えられる。
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