農業景況判断 29年は悪化の見通し2017年3月16日
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫(日本公庫)農林水産事業は3月15日、28年下半期農業景況調査結果を公表した。28年は調査開始以来の最高の景況DI値となったが、29年は一転して悪化する見通しとなっている。
DIは前年と比較して「良くなった」との回答の構成比から「悪くなった」の構成比を差し引いた動向指数。
農業全体の28年景況DIは過去最高だった27年の16.8から3.2ポイント上昇し20.0となった。背景は販売単価DIが13.1から26.1に、生産コストDIが▲44.7から▲19.1に改善したことが影響した。その結果、収支DIが14.2から16.7に上昇した。
部門別では酪農(北海道:55.9→57.6、都府県:29.3→52.2)、肉用牛(48.5→50.3)が高い水準を維持している。養豚(48.8→26.2)、採卵鶏(71.0→40.8)、ブロイラー(51.9→27.4)は販売単価の下落で悪化したものの、資金繰りは安定しておりDIは高い水準を維持した。
また、施設野菜(20.3→26.3)や茶(▲53.1→11.1)、果樹(11.5→25.6)、施設花き(▲5.9→11.8)は販売単価が上昇し、一方で燃料価格などが低水準で推移したことにより、収支と資金繰りが改善しDI値が上昇した。
稲作は北海道(20.1→▲4.9)、都府県(▲3.8→23.6)と明暗が分かれた。全国的に豊作基調で販売単価が上昇したが、北海道は過去5年より作況が低下したことや、高単価品種の価格が思ったように上昇しなかったことなどが背景にあるという。また、畑作は(35.2→▲17.6)と台風被害などで収支や資金繰りが悪化してDI値が大幅に低下した。
29年の農業全体の景況DI見通しは11.3ポイント低下し8.7と一転して悪化するとの結果となった。素牛価格等の高値推移が見込まれるなか、販売単価の先行き不透明感から慎重な判断になったとみられている。
畜産全分野で悪化。酪農(北海道:57.6→31.5、都府県:52.2→16.8)など大幅な悪化。稲作(北海道:▲4.9→▲11.8、都府県:23.6→4.9)や茶(11.3→▲3.1)と悪化する。
施設野菜(26.3→24.0)や果樹(25.6→24.1)は横ばい、畑作(▲17.6→4.6)や露地野菜(14.7→18.9)と改善する見通しとなった。
調査は今年1月に実施。日本公庫のスーパーL資金、農業改良資金の融資先7379の農業経営体から回答を得た。
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