【TPP】21日にハノイで11か国閣僚会合2017年5月19日
米国抜きならSG発動など調整必要
TPP参加11カ国の閣僚会合が5月21日にベトナム・ハノイで開催される。離脱を表明した米国抜きで今後のTPP協定の方向性を話し合うが、各国それぞれ米国との関係で事情が異なり議論がまとまるかは不透明だ。会合に参加するTPP担当の石原伸晃経済再生担当大臣は「ここで打ち出さなければばらけてしまうのではないか」との認識で日本が議論を主導する考えだが、慎重な対応を求める声は自民党内にも多い。
自民党は5月17日にTPP総合対策本部を開催した。
茂木敏充TPP総合対策実行本部長は「米国のトランプ政権によるTPPからの離脱通知によって見通しが難しくなっている。世界に保護主義的な動きが広がりつつあるなかでハノイのTPP閣僚会合においてTPP参加11か国の結束を示し、自由で公正な21世紀型の新たな共通ルールの確立に向けて強いメッセージを世界に向けて打ち出すことがなにより重要。各国の立場はさまざま。11か国としての方向性を打ち出すための調整は容易ではない」と述べ、「政府には米国への働きかけの継続や、TPP11の可能性も含めて主導的議論を進めることを期待している」とした。
会合には石原伸晃経済再生担当大臣も出席。
「わが国が率先してリードしてきたことによって、寄託国のNZも国内手続きを完了した」とTPP発効に向けて日本が主導しているとしながらも「ハノイで明確な方向性を打ち出せないとばらけてしまうのではないかと思う。極めて重要な会議になる」と話した。
5月の連休期間中にはカナダのトロントで11か国で首席交渉官会合が開かれ、澁谷和久TPP政府対策本部国内調整総括官代理は「11か国として前に進める思いは一致している」としたが、米国にTPP協定に戻ってもらうべきとの主張や、一方で米国抜きのTPP11となれば合意内容は見直すのかどうかなど、各国それぞれ国内での説明が求められる課題が多いことも事実。
石原大臣は「あらゆる選択肢を排除しないのが政府の姿勢。何がベストか議論を主導したい」と述べた。
一方、出席者からは、かりに11カ国での協定発効となったときの農産物のTPP輸入枠やSG(セーフガード)の発動要件について見直しが必要ではないかとの指摘が出た。
これについて農水省は、TPP輸入枠やSGは「アメリカがいることが前提」となっていることを強調。「11か国にTPP枠を出して、別途アメリカから(二国間交渉で)取られるような両取りにならないように何らかの調整が必要」だと話した。SG発動要件についてもアメリカ抜きなら発動要件に輸入量が届かない事態も考えられるが「なかなか発動されないということがないようにやっていかなければならない」と調整の必要を認めた。
西川公也農林・食料戦略調査会長は経済連携を進めTPP発効も必要だが「どういうかたちでもこれまでに決めたTPP以上のものを認めることはできない」と話した。
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