重要なJAの農業体験活動-食育白書2017年6月6日
食料の生産から消費までの食の循環について国民が意識し理解することが、国内農業・農村の維持発展に重要だが、農業者などからの直接の指導によって農業体験をした人では指導なしで体験した人より「自然の恩恵や生産者への感謝を感じられるようになった」などの理解が深まっている。平成28年度の食育白書はそうしたデータを紹介し、JAによる農業体験活動を事例として紹介している。
食育白書によると農林漁業体験をした国民(本人または家族)の割合は30.6%。「学校の取り組みに参加」と回答した人の割合が61.4%、「地方自治体や地域の取り組みに参加」が22.8%、「民間ツアーなどに参加」が9.0%となっている。
体験の際に農林漁業者から直接、指導を受けた人の割合は83.0%だった。体験によって「自然の恩恵や生産者への感謝を感じられるようになった」のは、直接指導が「なし」では40.2%、「あり」では65.4%だった。「地元産や国産の食材を積極的に選ぶようになった」では、直接指導「なし」で12.5%、「あり」が28.8%と2倍以上の開きがあった。
「食べられなかった野菜が食べられるようになった」、「地元の生産者等との交流が増えた」でも同じ結果が示されており、白書は農林漁業に携わっている人の積極的な関与があるかどうかで農業体験の影響に違いがあると指摘している。
そうした実践事例のひとつとして紹介しているのが滋賀県のJAおうみ冨士の地産地消から農業体験活動へと展開している取り組みだ。同JAが平成20年に開設した「ファーマーズ・マーケットおうみんち」では、店頭が品薄になる午後は近くの畑で農産物の収穫を楽しんでもらい持ち帰り袋のサイズに応じた価格で購入してもらう「畑の直売所」を実施した。これが評判となり、定期的に開いてほしいという声が出てきたため、収穫だけでなく、種まき、雑草抜き、施肥などその時期に応じた農作業をする「援農」へと発展させ、その代わりに収穫物の一部を持ち帰ってもらう仕組みを22年から実施した。
その後は登録会員数も増え、市民や生協も参画・交流する食育・農業体験組織の結成につながっていることなどが紹介されている。
また、北海道農協青年組織協議会が先生のための農村ホームステイに取り組んでいることも紹介している。25年度から実施。若手農業者が小・中・高校の先生を1泊2日で受け入れ農家のありのままの生活と、農作業を体験してもらう取り組み。教育のプロである先生と農業のプロである農業者がお互いの交流のなかで、子どもたちに伝えるべき食と地域の大切さを考える。
(写真)JAによる農業体験活動が重要になっている。写真はJA秋田やまもとのJAスミンクラブによる夏の親子教室で
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