農業競争力支援法 8月1日施行-農水省2017年6月6日
農林水産省は6月5日、農業競争力支援法についての全国説明会を農水省で開き同法を8月1日に施行する予定であることを明らかにした。
農業競争力強化支援法は今国会で成立し5月19日に公布された。同法は公布から3か月を超えない時期に施行するとされていた。説明会では8月1日施行予定であることを明らかにし、政省令や実施指針についてのパブリックコメント(意見募集)を6月中下旬から1か月間実施する予定だ。
説明会では同法の概要について山口英彰総括審議官が説明。
「農業の競争力」とは「農業の生産性を高め、高い収益力を確保することにより持続的な農業発展ができる力のこと」であり、これまで農地中間管理機構による農地集積、米の生産調整の見直し、農協改革などによって競争力の強化を図ってきたとした。
そのうえでさらに成長するためには、農業者が自由に経営できる環境整備と、農業者の努力では解決できない業界構造などの問題を解決することが必要だとして同法を制定したと説明した。
同法が対象とする課題は農業資材価格の引き下げや、農産物流通の合理化など。施策の方向として▽農業関連産業の規制・規格の見直し、▽良質で低廉な農業資材の開発の促進、▽農産物の消費者への直販促進のほか、「事業再編・事業参入の促進」、「農業資材・農産物の取引条件等の見える化」を打ち出している。
農業生産関連事業の再編・参入の促進のために同法では事業者への支援を行うことを定めた。主務大臣(経済産業大臣)に事業再編・参入計画を申請し認定されれば税制特例や金融支援などが受けられる。
説明会では支援措置の内容も示した。▽組織再編、設備投資に対する税制特例(登録免許税の軽減、設備投資に係る割増償却など)、▽農林漁業成長産業化支援機構からの出資(出資比率:50%以下、投資期間:5~7年程度)、▽日本政策金融公庫の低利融資(償還期限:最大20年、据置期間:最大3年、利率:年0.16~0.45%(29年5月24日時点)、使途:設備投資、株式取得等)、▽日本政策金融公庫・中小企業基盤整備機構の債務保証、▽事業譲渡に際しての債権者催告の手続き、となっている。
事業者が支援を受けるための認定基準は、生産資材の供給や、農産物流通の合理化について数値など目標を示すとともに、事業再編計画では従業員の地位を不当に害するものではないこと、適正な競争を阻害するものではないことなどとなっている。
◆生産資材 価格調査実施
同法では生産資材価格について毎年、定点調査を実施し公表する。
調査対象資材は肥料、農薬、配合飼料、農業機械、段ボール、農業用温室。調査は、担い手農業者から日頃利用している販売店(JA、商系販売店、ホームセンター)を聞き取り、これらの店舗に調査協力を依頼する。
調査価格は店頭販売価格、農家購入価格、メーカー希望小売価格。公表方法は銘柄・規格ごとに平均価格、最高・最安価格を公表する。ただし、個別の調査店名は非公表とする。当面、対象品目は肥料など6品目だが農水省は説明会で今後、マルチやハウス用フィルムなど担い手の意向もふまえて増やすことも検討する方針を示した。農水省は8月1日の施行後、農産物流通の実態調査とともに1年後までに最初の調査を行う。
農産物流通加工については卸売市場法の抜本的な改正についても今後検討する。農水省は「規制のすべてをゼロベースで見直す議論をする」(井上宏司・食料産業局長)との考えを説明した。
説明会で山口総括審議官は同法について、農業団体や関係業界に義務や強制、押しつけなどをするものではないことを強調、農業の成長のために「自主的な構造改革を」などと述べた。
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