「驚愕すべき発言」-安倍発言を痛烈批判2017年6月30日
日本獣医学会声明をHP掲載
安倍晋三首相が6月24日に、獣医学部新設の全国展開をめざすとの趣旨の発言をしたことに対して、日本獣医学会は6月30日、「日本の獣医学教育の根幹を、ひいては広く大学教育・研究を崩壊に導きかねない、正に驚愕すべき発言」と強く批判する声明を同会ホームページに掲載した。
安倍首相は24日に神戸市内で行われた講演会で「国家戦略特区によって1校に限らず速やかに獣医学部新設の全国展開をめざしたい」との方針を表明した。
これに対して全国大学獣医学関係代表者協議会(稲葉睦会長)と(公社)日本獣医学会(中山裕之理事長)が声明を発表した。
声明では安倍首相の発言について「獣医師養成教育の現状と本質的問題を理解せぬまま発せられたものであり、日本の獣医学教育の根幹を、ひいては広く大学教育・研究を崩壊に導きかねない、正に驚愕すべき発言」と痛烈に批判、獣医の問題にとどまらず「広く大学教育・研究」をも「崩壊に導きかねない」と安倍首相の教育・研究への理解不足も懸念した。
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今回の安倍首相の発言は、加計学園に獣医学部新設を認めた問題の不透明性を批判する意見に対して「一校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果として国民的な疑念を招く一因となった」などとまたしても問題をすり替えたものとなった。
声明では「一校だけに絞ったことで生じた批判だなどというレベルの問題ではない」と強調し、国家戦略特区を利用した学部新設が、獣医師の需要動向など「根拠を欠く規制緩和」のもとで「妥当性を欠いたまま進められたことが問題」と指摘した。
また、内閣府の山本幸三規制改革担当大臣が5月末に日本の獣医学部の質は落ちているなどとした発言に対して8日、山本発言のもとになった国際ランキングの問題点や、獣医師の現状と向かうべき方向などについて指摘した声明を出していることに改めて触れ、「わが国の獣医学教育は国際水準化をめざし大きな変容を遂げつつある。世界もそれを注視。現況についての理解なしに獣医学部新設やその全国展開を語るのは、行政の責任者として適切な言動とは言えない」と指摘した。
そのうえで「規制改革は妥当性があって効果を発揮するはず。新設の件は妥当性の検討が明らかに不十分ではないか」として適切な検証と判断を求めている。
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