【コメ先物の本上場】 自民部会は反対・先送り論2017年7月21日
自民党の農業基本政策検討PT(宮腰光寛座長)は7月21日、米先物取引の本上場の申請について議論した。出席議員からは農業経営のリスク回避にメリットがあるなどと肯定的な意見も出たが、「必ず投機マネーの餌食になる」など、米価の乱高下を招きかねないとの指摘や、平成30年産以降の米政策の見直し状況を見極めてから判断すればいいとの意見が多く、同PTとして今回の本上場申請を見送るべきだとの意見が大半を占めた。
会合で結論は幹部一任とすることが了承されたが、西川公也農林・食料戦略調査会長は会合後、本上場を見送るべきだとの意見にまとまる「可能性が極めて高い」と述べた。
米の先物取引は平成18年4月に東京穀物商品取引所と関西商品取引所が試験上場を申請したが、農林水産省は生産調整への参加を要件とした米政策を基本としており、先物取引は政策と不整合だとして不認可とした。
その後、22年の民主党政権下の戸別所得補償制度で米の需給調整は生産者の選択制となったことから政策と整合するとして、23年の両取引所からの試験上場申請を認可した。試験上場期間は2年で25年には大阪堂島商品取引所に集約されていた試験上場の延長を認可し、27年にはさらに再延長申請を認可した。
再延長期間の実績をふまえ、大阪堂島商品取引所は十分な取引量があり先物価格は米の円滑、公正な取引のために有益な情報を提供しているとして7月11日に申請した。 農林水産省によると、平成23年からの第1期の1日取引量958枚が第3期は同1542枚と増加し、過去に本上場に移行したロブスタコーヒーの認可申請時の同2358枚を上回る2529枚となっている。取引量は1日あたり約1万tある。
生産者の取引参加も第1期は2名だったが第3期は31名へと推移。利用している生産者の7割は経営安定上有効と評価しているという。妥当性についても安定した販売先を確保するという米政策の基本のもと、補完的な売り先や売買リスク回避として活用可能と農水省は評価している。また、先物市場を通じた現物の受渡数量は28年度で2000tで主食用米流通量725万t(27年産)の0.03%で実際の米流通に支障を与えている実態はないとする。
こうした実態と評価を説明し、農水省は農業者が経営規模を拡大していくなか、リスクヘッジの選択肢として必要ではないかとの認識を示した。 しかし、出席議員からは「日本人の主食を乱高下させてはならない。今は2000tだがどんどん広がる。無理矢理やる必要はない」、「経営にとっては先が見え、選択肢としてあっていい。しかし、飼料用米生産などマクロの(需給)政策をしっかりやるべき」、「必ず投機マネーの餌食になる。やがて農家と関係のないところで(米価は)乱高下しかねない」などのほか、30年産から米政策の見直しが行われることから「30年産米の状況をみてからでいい」、「試験上場の延長でいいのでは」との意見が多く出た。
農林水産大臣の認可は申請から1か月以内に行われることになっており8月7日までに結論を出すが、自民党としては今回の認可を先送りすることを申し入れる可能性もありそうだ。
重要な記事
最新の記事
-
作物病害の原因となる植物群落の結露と気象条件の関係を定量化 農研機構2025年3月10日
-
JA経営 経常利益18.5%減 2024年度上半期総合JA経営調査2025年3月10日
-
JA貯金残高 108兆2105億円 1月末 農林中金2025年3月10日
-
米価高騰の主因は食糧安保政策の不在【森島 賢・正義派の農政論】2025年3月10日
-
国産ジビエ認証施設に大分県「日田ジビエ工房」認証 農水省2025年3月10日
-
米価下がる見通し 関係者の判断 大幅増 米穀機構調査2025年3月10日
-
廃棄されるゆら早生みかんを豊潤なジュースに フードロス減らしSDGs貢献 JAありだ(和歌山県)2025年3月10日
-
地元産ササニシキがパックご飯、大豆・りんご・たまねぎ・味噌が焼肉のタレに2025年3月10日
-
花き振興部会第36回総会を開く JA鶴岡2025年3月10日
-
本日10日は「魚の日」国産若うなぎ長焼きなど60商品を特別価格で販売 JAタウン2025年3月10日
-
温暖化に対応したミカンとアボカドの適地予測マップを開発 農研機構2025年3月10日
-
【人事異動】農中情報システム(株)(3月31日付、4月1日付)2025年3月10日
-
【今川直人・農協の核心】営農指導モデル2025年3月10日
-
北海道にコメリパワー「恵庭店」3月21日に新規開店2025年3月10日
-
春の味覚を楽しむ 市内3つの農園でいちご狩り体験 福井県あわら市2025年3月10日
-
乙葉が登壇「さけるチーズの日」盛り上げる「さけるチーズフェス2025」大阪で初開催 雪印メグミルク2025年3月10日
-
お米ギフト「年貢米」オンラインストア限定で新発売 八代目儀兵衛2025年3月10日
-
福島県白河市 美味しくて自慢の農産品が東京に集結 販売会開催2025年3月10日
-
農機自動操舵システム「FJD AT2 Max農機自動操舵システム」販売開始2025年3月10日
-
日本の食をデザインの力で世界へ届ける「農業デザインチャレンジ 2025」開催2025年3月10日