中国「中華思想」回帰へ 元NHK北京支局記者が講演2017年9月19日
世界の政治・経済に関して中国の存在感が高まっているが、「TPPに反対する人々の運動」は9月11日、東京で開いている連続講座で中国問題を取り上げ、NHK記者で北京支局に3年勤務した経験のある大●(「崎の異字体)雄二氏が「現代の中国をどうとらえるか」のテーマで、中国の歴史から見た今日の中国社会を読み解いた。
同氏は、日本からみた中国のイメージを「幻想と幻滅の不連続線」としてとらえ、イメージが時代とともに変わってきたと指摘。古代から近世は「文明の故地としての崇敬」、近代は「蔑視」、そして今は「脅威・嫌中」と変わってきたが、いずれもリアルな現状認識に欠けると言う。
一方、中国は、習近平主席は2013年に「中華民族の偉大な復興」「中国の夢」の国家目標を打ち出した。「復興」とは、欧米列強や日本に侵略される前の強大だった清帝国をモデルに、それを「中国の特色を持つ社会主義」で実現めざしているというわけだ。
その社会主義は、「屈辱の近代」(1840年のアヘン戦争から1949年の中華人民共和国成立まで)の帝国主義列強に対する「リベンジ革命」としての政治体制であり、それは「古代文明からの連続性・文明体という自負、非西洋型モデルの模索」として現れていると分析する。
中国には「中体西用論」というのがあるが、これは清朝末期の洋務運動の基本思想で、中国の伝統的思想・文化・制度を根幹にすえ、運用の面では西洋文明の科学・技術を導入しようとする考え方である。この伝統的思想が、統治としての徳治(人治)主義であり、中国文明が絶対で、それ以外の地域や民族を「夷」とする中華思想だという。
現在の中国の習近平共産党政権は、こうした中国の伝統的思想の復活を試みており、「西洋キリスト教文明とはまったく異質の文明体であり、古来、さまざまな要素を取り込み、変化を続けてきた〝変化し続ける連続した文明体〟」だと指摘した。
なお、この連続講座は、2回目(10月20日)「一帯一路をどうとらえるか」(講師・国士舘大学21世紀アジア学部平川均教授)、3回目(12月上中旬予定)「アジアから中国をどうとらえるか」(講師未定)で開く。
(写真)大崎雄二氏
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