現行のGM食品表示は「正確ではない」 日本農学アカデミーが要望書2017年10月6日
日本農学アカデミー(古在豊樹会長)は、9月20日に消費者庁長官へ「遺伝子組換え食品表示改訂に関する要望書」を手交したと、このほど公表した。
同アカデミーは、遺伝子組換え(GM)作物の活用は「日本農業のイノベーションに大いに貢献すると同時に日本の食料の安定供給へも貢献する」ものと考え、これまでも具体的な事案に即して研究推進に必要な提言を行ったり公開シンポジウム等で消費者に最新の研究も含めた状況を紹介するなどの活動を行ってきている。
現在、消費者庁では遺伝子組換え食品表示の改訂の検討を行っているが、同アカデミーは、現行のGM食品表示制度は「正確ではないため消費者の選択の自由を守ることができず、むしろ誤認が起きていることが問題である」と次のような問題点を指摘している。
▽意図しない混入が少量であれば「遺伝子組換えではない」という表示を許容している現行の制度は、"正確であるべき"という表示の原則から外れる。
▽表示の対象を、組換えられたDNAやこれによって生じたタンパク質の検出できない食品にまで拡げるという意見、そして、現行の原材料表示対象である5%以上、上位3品目から、すべての原材料へ拡げるという意見については、十分な議論と消費者の納得が必要と考える。
という基本的な考え方に基づいて、以下の5点を要望している。
1.遺伝子組換え表示制度は、安全性が確認された遺伝子組換え食品について、消費者の知る権利、選択の権利を担保するための制度であり、遺伝子組換え食品の危険性を暗示したり、遺伝子組換え不使用食品の安全性を誇示するものではないことを再確認し、その趣旨を消費者に広く知らしめること、特に、表示される遺伝子組換え食品は安全性が国によって確認されていることに関して十分な情報提供を行うこと。また、この趣旨に則り、消費者に誤解を生じない表示になるよう努めること。
2.関連する食品を遺伝子組換え成分を使用しているものと使用していないものに正確に二分し、消費者の誤解の余地をなくすため、「遺伝子組換え不使用表示」は5%までの意図しない混入を容認する現行制度を改めて、不使用表示は遺伝子組換え成分がゼロの食品に限定すること。ただし、意図しない混入を容認し、その量を5%から下げる措置を請ずる場合には科学的な検証可能性と食品メーカーなどによる実行可能性を担保すること。
3.現行の原材料表示対象である5%以上、上位3品目から、すべての原材料へ拡げること、その実施に当たっては、食品メーカーの実行可能性や消費者にとっての表示の優先順位と見易さが維持できるかどうかという観点からも検討すること。
4.組換えられたDNAやこれによって生じたタンパク質を科学的に検出できない食品にまで表示制度を拡げないこと。
5.遺伝子組換え表示に関してはEU(欧州連合)と日本の食料供給事情が異なること、また、EUが決めていることをどう実行しているのかについても検討し、いたずらにEUの受け売りをせず、日本の食料事情を十分理解し、科学的に実行可能な表示にすること。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(127)-改正食料・農業・農村基本法(13)-2025年2月1日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(44)【防除学習帖】第283回2025年2月1日
-
農薬の正しい使い方(17)【今さら聞けない営農情報】第283回2025年2月1日
-
2024年の農業就業者は180万人 前年比7万人減 総務省・労働力調査2025年1月31日
-
備蓄米の買い戻し条件付き売り渡しを諮問 農水省が食糧部会に2025年1月31日
-
殺処分対象911万羽 鳥インフルエンザ 国内48例目 愛知県で確認2025年1月31日
-
"人財"育てチームで改革(1) JAみえきた組合長 生川秀治氏【未来視座 JAトップインタビュー】2025年1月31日
-
"人財"育てチームで改革(2) JAみえきた組合長 生川秀治氏【未来視座 JAトップインタビュー】2025年1月31日
-
【世界の食料・協同組合は今】EU環境戦略の後退と戦略的対話 農中総研・平澤明彦氏2025年1月31日
-
【クローズアップ 畜産・酪農対策】生乳需給参加が事業要件 「欠陥」改正畜安法是正へ農水省方針2025年1月31日
-
(420)「いまトラ」をどう見るか【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年1月31日
-
GI取得「かづの牛」など農産物・加工品6産品 農水省2025年1月31日
-
いちご観光農園「熊本あしきた いちごの森」オープン 「ゆうべに」「恋みのり」食べ放題 JAあしきた2025年1月31日
-
シャキッと甘く 高級かんきつ「甘平」出荷始まる JAえひめ中央2025年1月31日
-
全国の魅力的な農畜産物・加工品が勢ぞろい JA全農が商談会2025年1月31日
-
岩手県から至高の牛肉を「いわて牛・いわちくフェア」2月1日から開催 JA全農2025年1月31日
-
「国産米粉メニューフェア」銀座みのりカフェ・みのる食堂で開催 JA全農2025年1月31日
-
「はこだて和牛」など味わえる「JA新はこだてフェア」2月1日から開催 JA全農2025年1月31日
-
「ニッポンの食」で応援 全日本卓球選手権大会(ダブルスの部)に特別協賛 JA全農2025年1月31日
-
蔵出しミカンの出荷始まる 食味良く大玉傾向 JAふくおか八女2025年1月31日