遺伝子組換え表示制度でパルシステムが意見書2017年11月20日
・消費者の知る権利・選ぶ権利の保障を
生協のパルシステム連合会は、11月16日、政府の「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」に対し、意見書を提出し、消費者の知る権利・選ぶ権利を保障する表示制度への改正を求めた。
遺伝子組換え表示制度に関する検討会は、消費者庁に設置され「今後の遺伝子組換え表示制度の在り方について幅広く検討を行う」と定められ、導入から15年が経過した遺伝子組換え表示について、表示義務などの制度設計を検討し、2017年度末をめどに取りまとめを行う予定だ。
パルシステムでは、遺伝子組換え作物およびそれを主原料として使用された食品は、原則として取り扱わないことを方針化し、さらに一部の多国籍企業による種子独占を懸念し、日本の種子と農業技術を守る運動を行っている。
パルシステムは「現行の表示制度では、世界中にあふれる遺伝子組換え食品を気づかぬうちに口にしているのが実情です。パルシステムでは、現行制度には問題点が多く、消費者による自主的かつ合理的な選択の機会が奪われていると考えます」として、要旨、以下のような意見を提出した。
1.すべての食品を遺伝子組換え表示の対象としてください。
2.意図せざる混入率の引き下げを求めます。
なお、意見全文は以下の通り。
「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」への意見
私たちパルシステムグループは、「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」を基本理念とし、組合員約193万世帯を組織する生活協同組合のグループです。産直を通じて消費と生産をつなぎ、互いが助け合い、資源循環と持続可能性のある社会づくりを追求しております。
消費者庁での「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」の議論の行方について注視しております。現行の遺伝子組換え表示制度には問題が多く、消費者は自主的かつ合理的な選択の機会を奪われています。
パルシステムグループでは、遺伝子組換え技術で生産された作物およびそれを主原料として使用された食品は、原則として取り扱わないことを方針化し、一部の多国籍企業による種子独占に反対し、日本の種子と農業技術を大切にする運動を広げています。また、消費者が選択できるようすべての遺伝子組換え作物・食品の表示義務化、トレーサビリティの保証をこれまで日本政府に要請してきました。世界中にあふれる遺伝子組換え食品は、気づかぬうちに口にしているのが現状であり、消費者の知る権利・選ぶ権利を保障する遺伝子組換え表示制度への改正を求め、以下要望します。
1.すべての食品を遺伝子組換え表示の対象としてください。
現行の遺伝子組換え表示制度は、表示義務対象が8農産物とこれらを原材料とした33加工食品群と限られており、消費者の知る権利・選ぶ権利に応えていません。また、表示義務対象であっても、重量上位3位まで、かつ重量5%以上でなければ「遺伝子組換え」と表示する義務はないため、多くの食品が表示を免れており、消費者は気づかないうちに遺伝子組換え原料を使った食品を口にしているのが実態です。
しょうゆ、植物油等については、組換えられたDNA及びこれによって生じたタンパク質が最終製品で検出できないという理由から表示義務の対象外となっています。しかし、消費者庁のEU調査によると、最終製品から組換えDNAを検出できなくても、トレーサビリティ制度での書類確認と原材料検査により効果的な監視は可能とされています。
すべての食品を対象に、遺伝子組換え原料を使用していれば「遺伝子組換え」と表示する、消費者にとって分かりやすい表示制度への改正を求めます。
2.意図せざる混入率の引き下げを求めます。
現行の制度では、適切な分別生産流通管理が行われていれば、5%以下の意図せざる混入率があっても「遺伝子組換えでない」旨の表示が認められています。意図せざる混入率は、オーストラリア・ニュージーランドでは1%、EUでは0.9%と日本と比較して低くなっています。「遺伝子組換えでない」と表示されていれば、消費者は遺伝子組換え原料を全く使っていないと理解します。現在の「遺伝子組換えでない」表示は消費者を誤認させるもので、消費者の知る権利・選ぶ権利を阻害しているため、意図せざる混入率の引き下げを求めます。
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