政府の農協改革は違和感も 自民議連で生源寺教授2018年4月25日
自民党の「地域の農業を守る議員連盟(竹下亘会長)は4月23日、東京・永田町の自民党本部で開いた第2回総会に福島大学の生源寺眞一教授を招き、農業・農協問題について講演会を行った。同教授は過去20年の日本農政について語り、「短期決戦型の成果主義と成果誇示のスタンスが強まる半面、長期的な視野からの政策が停滞気味」として、「一度立ち止まって、農政のあり方を考えるべきだ」との考えを示した。
同議員連盟は今年の3月15日に発足。現在、登録議員は100名近くに及ぶ。総会では竹下会長が「何が何でもふるさとを、田舎を守ると言う同志の集まりであり、厳しい状況にある中山間地や漁村をどうするか、われわれの立ち位置を定めて政策提案したい」と述べた。キーワードは「ふるさと」「田舎」である。
◆政策がリスク要因に
生源寺教授は講演で、「職業としての農業を営む専業・準専業の農家や農業法人にとって、近年の農政は大きなリスク要因になっている」と指摘し、頻繁に繰り返される農業をめぐる制度・施策の変更を疑問とした。
そのうえで、最近の農業政策の論議が、もっぱら農村票の集票を念頭においているため、「農業者へのアピールが第1で、農業政策の費用を負担する国民への説明が疎かになりがち」と指摘した。
◆着地点不明の米政策
また生産調整廃止に関しては、「廃止が何を意味するのか、作柄の変動などのリスクがある中で、どのような米生産のシステムに着地するかも不明瞭」として、具体的な政策目的の提示が必要であることを強調した。
さらに政策形成のプロセスで、産業競争力会議や規制改革(推進)会議の経済界出身の有識者を問題点として挙げる。その構成がものづくり産業から流通・コンサルなどの領域にシフトしている。このため、「政策転換に伴うリスクを回避する姿勢が弱まっている印象がある」と述べた。
つまり十分に検証せず、「10年で所得倍増」や「岩盤にドリル」など、刺激的な看板を掲げて次々政策を打ち出す手法に疑問を投げかけた。
農協改革では、農協法の改正で、その目的を所得増大に置いたことは評価するものの、JA全中の見直しのように、発展途上国型の協同組合から脱皮という側面をもちながら、農協の具体的目的を国が定めることには、「自主・自立の組織として違和感がある」と述べた。
(写真)農政のあり方で話す生源寺福島大学教授
◆世代超えた時間軸で
最後に、農村の共同行動として、農業用水の共同利用システムの価値を強調。利己的な行動によって自壊することなく、長期にわたって続いており、「ローカルなコモンズの知恵と経験をグローバルに活かすことも人類の課題。世代を超えた時間軸でものごとを思案する農村社会の持ち味を大切にするべきだ」と話した。
出席した議員からは、規制改革(推進)会議による政策形成のプロセス、持続可能な生産組織のあり方、企業の農業参入の評価、食料自給率低下、外国人労働者の増加などについて質問があった。
とくに、企業の農業参入では、施設園芸等で拡大するが、米麦の土地利用型農業は農業法人や集落営農が向いているとの考えを述べた。また食料自給率では、同時に「自給力」の低下を問題にするべきだと指摘。外国人労働力の利用では、農業法人のマネージャーとして活躍している例をあげ、「人材として活用すべきだ」との考えを示した。
(関連記事)
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