担い手農業者の6割以上が後継者候補あり 日本公庫2018年11月2日
日本公庫農林水産事業は、7月に「平成30年上半期農業景況調査」で融資先の担い手農業者を対象に事業承継に関する調査を実施し、その結果を公表した。
◆後継者は「子息・息女」が5割
事業を承継する後継者「子息・息女」51.3%が最も多く、次いで「親族以外の役員・従業員」「第三者」「他の親族」の順となった。これらを合わせ、6割以上の担い手農業者で後継者の候補がいることがわかった。
また、個人経営と法人経営を比べると「子息・息女」は個人55.1%・法人43.7%で、「親族以外の役員・従業員」個人1.4%・法人16.0%となっている。稲作の法人は「親族以外の役員・従業員」32.1%が「子息・息女」の24.4%を上回り、法人では親族外承継の割合が高くなる傾向にあることがわかった。
売上階層別では、売上規模の大きい経営体ほど後継者候補がいる傾向にあり「親族以外の役員・従業員」を後継者とする割合も高く、売上規模の小さい経営体ほど後継者候補が決まっていない割合が大きくなる傾向にある。
◆事業承継の課題は「生産技術・経営ノウハウの継承」
事業承継にあたっての課題は「経営ノウハウの継承」52.5%、「生産技術の継承」47.1%となった。
個人経営と法人経営を比較すると「経営ノウハウの継承」個人47.0%・法人63.3%と法人が高く、「事業の将来性が不安」個人43.7%・法人27.8%で個人で高くなっている。
耕種と畜産の比較では「事業の将来性が不安」耕種 41.8%、畜産 28.0%と耕種が高く、「贈与税や相続税の発生」は耕種 10.0%、畜産 20.2%で畜産経営で高くなっている。
また、売上階層別に見ると、売上規模の大きい経営体ほど「贈与税や相続税の発生」を課題とする割合が高い傾向にあり、売上規模が小さい経営体ほど「事業の将来性が不安」と回答した割合は売上規模が小さい経営体ほが高くなっている。
後継者候補がいる経営体では事業承継後の実務面に課題意識があり、後継者候補がいない経営体では、事業基盤の強化に課題意識があることがうかがえる結果となった。
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