GAPの団体認証取得を支援 農水省-農薬工業会の情報交換会2019年2月13日
農薬工業会は2月7日、東京都内で「農薬に関する情報交換会」を開き、講師の農水省農業環境対策課の新本英二農業環境情報分析官が「GAPでGoodな農業」をテーマに講演した。そのなかで生産現場で普及推進を図るために農水省として団体認証取得の支援に力を入れていくことや、日本発の国際水準GAPであるASIAGAPの国際化推進などを進める方針を示した。
◆農業者の安全確保も
GAPは農薬の適正使用や農作業の安全確保などについて、自らの農場の課題を洗い出し、計画に基き改善に取り組み、それを記録、点検、評価したうえで、さらに取り組みを持続させていく改善活動だ。それによって生産管理の向上や生産効率の向上だけでなく、農業者自身と従業員の経営意識向上にもつながり、農水省は農業人材の育成と競争力強化にも有効と位置づけている。
講演で新本氏はGAPの実施は食の安全、環境への配慮、農業者自身の安全確保などによって持続可能な農業生産・社会の実現をめざすものでGAPに取り組む、すなわち「GAPをする、は日本農業にとって当たり前のことにしたい」と強調する。
そのうえでGAPが正しく実施されていることを第3者機関の審査で客観的に証明する、「GAP認証の取得」を推進していく。GAP認証の取得は正しくGAPに取り組んでいることを外に向かって「見える化」することであり、最近では販売先からも求められるようになっている。
日本でのおもな国際水準のGAP認証にはGLOBALG.A.PとASIAGAPがあり、このうちASIAGAPは日本発のGAP認証の仕組みとして昨年10月、国際標準を認証するために世界展開する食品企業などで構成する民間団体、GFSI(世界食品安全イニシアティブ)が承認した。承認されたのは青果物だけなく穀物、茶も含まれている。
◆日本発GAP推進
農水省は2030年までにほぼすべての国内産地で国際水準のGAPが実施されることを目標に掲げ、審査員の育成確保の促進と交付金による認証取得などを支援している。
政策目標としてはGAPを指導する営農指導員や普及員を30年度中に1000人以上とすることを考えており、昨年9月末で約980人となっている。 また認証取得経営体数は30年6月末で約4800(GLOBALG.A.P、ASIAGAP、JGAP計)だが、目標は31年度末までに1万3500としている。
GAP拡大の推進のために31年度予算案では約7億円を措置している。都道府県にGAP交付金として支払い、各地域で認証取得費用などの助成に活用する。交付金の助成にあたっては農場は3年連続でGAP認証審査を受けることが条件でこのうち初年度に対して支援することになっている。
また、取得費用負担を軽減するため団体認証取得を促進していく方針だ。団体認証はJAの生産部会を担当する営農指導員などが団体事務局となって、GAP取り組みの指導、管理などを行い団体として審査を受ける。この場合、取り組んだ生産部会の農家全員への審査ではなく抽出審査となる。そのため個々の負担が軽減し、またグループが大きくなればなるほど負担は少なくなる。個別認証の審査費用は10~55万円程度。団体認証の場合は(50名の場合の1名当たり)2~11万円程度となるという。(ただし、いずれの場合も審査員派遣やコンサル費用は別途発生する)
また、農水省は日本発GAP(ASIAGAP)の、とくにアジア諸国での認知度向上と利用拡大、輸出促進のため海外実需者などに対する研修の取り組みなども支援していく。
食品関係事業者の意向調査ではGAP認証取得農産物の仕入れ量を増やしたいとする意向は5割を超えている(29年度食品産業動態調査)。一方で「仕入れない」とする業者はGAPに関する情報が不足しているための回答が4割近くを占めている。今後、フードチェーン全体でGAPの意義やメリットの理解が浸透し、さらに産地にGAP認証を求める動きも広がることも考えられる。 講演で新本氏は国連のSDGs(持続可能な開発目標)などの世界を取り巻く動きにも触れ、持続可能な農業と社会の実現に向けた取り組みとして、「何のためにGAPをするのか考えることが大事」と強調した。
(関連記事)
・「第1回日本オープンイノベーション大賞」受賞者発表(19.02.07)
・福島で「GAPチャレンジセミナー」開催(19.01.24)
・新たに9農場をJGAP認証農場に 中央畜産会(19.01.07)
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