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原発事故で飛散 放射性微粒子の溶解挙動を解明2019年3月7日

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東京大学、農研機構、日本原子力研究開発機構の研究グループは、原子炉から飛散した放射性微粒子が純水および海水中で溶解することを明らかにし、その溶解速度(=放射能の減少速度)を見積もることに成功したと発表した。

溶解実験前後での放射性微粒子の形態変化を示す走査電子顕微鏡写真。上段は溶解前、下段は同じ粒子が一部溶解した後の写真を示し、左は純水、右は海水での結果となっている。なお、右と左では図に示したように溶解における温度と時間が異なっている。 福島原発事故により放射性セシウムが大気中に放出され、周辺環境が汚染された。最近の研究により、原子炉から放出された放射性セシウムの一部は、数ミクロン(μm)以下の微粒子に封じこめられた状態で飛散したことがわかってきた。このような微粒子はセシウムボールとも呼ばれ、一粒子あたりの放射性セシウムの濃度は、汚染土壌粒子等に比べかなり高いため、局所的な放射線影響が懸念される。
 微粒子の海水中での溶解速度は、純水中に比べ一桁大きく、半径1μm程度の放射性微粒子は10年程度で完全に溶解する可能性が示された。
 放射性微粒子の溶解速度や溶解に伴う構造の変化を明らかにした今回の成果は、放射線影響評価や汚染問題の解決に貢献することが期待される。
 なお、現在では事故から約8年が経過しており、海洋では放射性微粒子の溶解が進行していると予想されるが、現在の海水中の放射性セシウム濃度は検出下限値(約1 Bq/L)未満であり、溶解による環境等への影響はないと考えられる。

(写真)溶解実験前後での放射性微粒子の形態変化を示す走査電子顕微鏡写真。上段は溶解前、下段は同じ粒子が一部溶解した後の写真を示し、左は純水、右は海水での結果となっている。なお、右と左では図に示したように溶解における温度と時間が異なっている。

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