中国除く世界の穀物在庫率は低下 米国農務省が発表2019年6月20日
米国農務省は今年5月の穀物等需給報告から、中国を除いた世界の在庫数量の公表を開始した。
中国は、穀物について世界の約3分の2の在庫を保有しているとみられるが、この在庫は基本的には中国の国内向けに供給され国際市場に流通することはほとんどない。そこでこの中国を除いた世界の2019/20年度の期末在庫量等から、世界の期末在庫率を計算した。 それによると中国を含めた小麦の世界の期末在庫は2億9300万tで在庫率は38.8%となる。しかし、このうち中国の在庫数量は1億4600万tを占めることから、それを除くと在庫率は23.4%へと大きく低下する。
トウモロコシも同様で中国を含めた在庫数量は3億1500万tで在庫率は27.6%となる。しかし、中国の在庫量1億9200万tを除くと在庫率は14.3%と大きく低下する。
一方、大豆については中国の在庫数量は2200万tだが、消費量は1億t程度と多くブラジル、米国などから輸入に頼る。したがって、中国を除く在庫率を計算する場合は、中国の消費量も除いて計算することになるため、世界の在庫率は31.8%から36.0%へと上昇する。 現在の期末在庫率の水準は、欧州や豪州の干ばつで2007/08年に小麦の在庫率が17.5%へと大きく低下した年や、米国の干ばつで2012/13年にトウモロコシが9.5%、大豆が24.2%となった年にくらべれば高い水準にある。
◆米国トウモロコシ作付けに遅れ
米国農務省の報告によると米国のトウモロコシ主産地では5月以降、降雨過多の状況が続いたことで6月9日時点で作付けの進捗率(全米18州)は83%となっている。過去5年平均では同時点で99%。インディアナ州67%、オハイオ州50%と遅れが目立つ。
農林水産省は6月18日公表の海外食料需給レポートで今後の見通しを分析している。
それによると、米国中西部のコーンベルトの一部では5月後半に降水量が平年より200ミリ以上となったという。
そのため一部の農家はトウモロコシから生育期間の短い大豆に切り替える可能性も指摘されているが、一方で新たなに大豆種子の手配が必要になることや、トウモロコシは大豆と違って収穫が11月にずれ込んでも霜害の影響を受けないことから、トウモロコシの作付けを進める農家もあるとみられるという。
トウモロコシのシカゴ相場は、米国農務省が3月に公表した「作付意向面積調査」で作付面積が大豆を上回る見通しだったため、4月は1ブッシェル(25.4kg)3ドル台後半だったが、降雨過多による作付け遅れが明らかになるにつれて4ドル台前半まで上昇している。
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