米国トウモロコシ作付けに遅れ2019年6月20日
米国農務省の報告によると米国のトウモロコシ主産地では5月以降、降雨過多の状況が続いたことで6月9日時点で作付けの進捗率(全米18州)は83%となっている。過去5年平均では同時点で99%。インディアナ州67%、オハイオ州50%と遅れが目立つ。
農林水産省は6月18日公表の「海外食料需給レポート」の注目情報で米国産トウモロコシの現状と今後の見通しを分析している。
それによると、米国中西部のコーンベルトの一部では5月後半に降水量が平年より200ミリ以上となったという。
そのため一部の農家はトウモロコシから生育期間の短い大豆に切り替える可能性も指摘されているが、一方で新たなに大豆種子の手配が必要になることや、トウモロコシは大豆と違って収穫が11月にずれ込んでも霜害の影響を受けないことから、トウモロコシの作付けを引き続き進める農家もあるとみられるという。
トウモロコシのシカゴ相場は、米国農務省が3月に公表した「作付意向面積調査」で作付面積が大豆を上回る見通しだったため、4月は1ブッシェル(25.4kg)3ドル台後半だったが、降雨過多による作付け遅れが明らかになるにつれて4ドル台前半まで上昇している。 農水省によると過去10年間でもっとも作付けが遅れたのが2009/10年度で5月末時点で進捗率82%だった。その後、6月上旬に作付けが完了してが、この年は収穫も降雨で遅れ、クリスマスまで収穫が行われていたという。
しかし、同年度の生産量は3億2000万t、単収は10.32t/haと過去最高(当時)を記録した。
また、2012/13年度は5月末に作付けが完了したが、7月以降に50年ぶりの大干ばつとなった。高温乾燥の被害を受けたトウモロコシの生産量は3億tを下回り単収は平年の8割以下、シカゴのトウモロコシ相場は1ブッシェル8ドル台と過去最高を記録した。
農林水産省は過去の実績からみると作付けが遅れても必ず不作になるとは限らず、生産量を左右する7月以降の受粉期にかけての天候と相場を含めて「冷静な状況分析が必要」としている。
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