九州農政局が安価な「わな通知機」を製作2019年10月3日
農林水産省では、鳥獣害対策で、捕獲に従事する人の高齢化や、農業に従事する人の見回りなどの労力を軽減するために、ICTやIoT化を推奨している。
ところが、鳥獣害対策の関係者からは、装置が高価なため導入が難しいとの意見があったことから、九州農政局の職員が市販の機器を組み合わせ、安価な「わな通知機」を試作した。この装置は「くまもと☆農家ハンター」の人たちの協力による実証試験を行い良好な実績が認められており、現在、本格的導入の準備を始めた地区があるという(九州農政局農村振興部農村環境課)。
わな通知機による通知の仕組み
野生鳥獣による農作物被害額は、近年、約160億円に上る。農業者および狩猟者の高齢化から、対策は年々困難になっている。
捕獲による被害防止対策で、特に問題となっているのは、設置した「わな」の見回り労力負担だと考えられる。
現在、農作物の被害防止のために捕獲を農業者が自ら行っている場合があり、本業である農業のかたわら、毎日、「わな」を見回ることが大きな負担となる。
また、気温の高い夏場は、「わな」にかかった動物が短時間で死亡することがあり、捕獲後は速やかに処理加工施設などへ搬送する必要がある。
こうしたことから、「わな」の作動を通知するIoT機器が有効であると考えられ、「わな」の動作を通知する機器が数多く販売されている。
それらの多くは付加価値機能が搭載されており、パソコンやスマートフォンなどから地図上で「わな」の作動確認が可能で、処理施設との連携や鳥獣被害防止対策に有用な管理や分析ができる機器もある。
しかしながら、市販の機器は、価格が高価なものが多く、個人で導入することは難しいといえる。また、管理や分析の機能は、行政や農協などが総合的な対策を立てるためには有用だが、個人の捕獲者には過剰な機能となる。
◆単機能特化で安価な装置を開発
このため、九州農政局が試作した「わな通知機」では、捕獲者が必要とする最低限の機能を安価に導入できることを目標にし、「わな」の作動をメールで通知する"単機能"に特化したものとした。
また、機材については一般的に入手が可能で、低価格な材料で製作することができるものとし、捕獲者が自ら製作し運用することが必要ではないかと考えた。自ら製作できない人には、安価に機器を提供する業者が現れることも念頭に置いた。
なお、通信方式については、主に農地や人家の周辺で利用することから、なるべく安価でエリアが広範な通信方式であるLTE?Mを使用する機器を採用した。
◆「わな通知機」の仕組み
採用した通信機器は、設定が容易な機器で、ボタンを押すとLTE?M通信で送信して、各種動作を関連づけできるSORACOM LTE-M Button Plus(以下、Plus)を使用。なお、本機は従来のsimと違って、基板上の電子simとなるため、盗難などで不正利用されにくいと言われている。
この「わな通知機」の導入に当たっては、SORACOM社のWebサイトへ無料の登録を行った後で、同Webサイトから購入手続が必要となる。
Plusの価格は送料・税別で7380円。維持費として、Plusは月額100円+1作動0.002円で、2年目は更新料200円と安価だ。
通知機の作動原理は、2本の入力端子が接触すると、入力信号がLTE-M回線でSORACO Beamサービスへ送信されるというもの。そしてBeamサービスから、「わな」の扉が閉まったという信号(トリガー情報)をIFTTTというIoTサービスの仲介サービスへ送信することで、Eメールや、SMS、Facebookメッセンジャー、LINEなどの各種通知サービスへ接続され、利用者へ「わな通知」が送信されるというもの。
詳しくは、九州農政局農村振興部農村環境課へ。
電話(ダイヤルイン)096-300-6441
重要な記事
最新の記事
-
共同利用施設の整備や多様な担い手支援 予算抜本拡充を 25年度予算でJAグループが要請2024年7月24日
-
【注意報】果樹カメムシ類 7月下旬以降に被害急増のおそれ 福岡県2024年7月24日
-
【注意報】いもち病 多発の可能性大 状況に応じて追加防除の検討を 北海道2024年7月24日
-
【特殊報】メロン退緑黄化病 県内のメロンほ場で初めて確認 滋賀県2024年7月24日
-
【注意報】斑点米カメムシ類の多発に注意 富山県2024年7月24日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 岐阜県2024年7月24日
-
【注意報】果樹にチャバネアオカメムシが県内全域で多発 過去10年で最大 群馬県2024年7月24日
-
参加と協同で「暮し続けられる街」に 横浜・福祉クラブ生協で【全中・JA経営ビジョンセミナー】2024年7月24日
-
KSAS Marketplaceに、残留農薬検査サービスを提供するつくば分析センターが参加 クボタ2024年7月24日
-
石川県創造的復興プランは画餅に帰す【小松泰信・地方の眼力】2024年7月24日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」絶滅危惧種を探しに錦江湾の干潟へ JAタウン2024年7月24日
-
【役員人事】鹿児島くみあいチキンフーズ(6月26日付)2024年7月24日
-
霧島酒造×スタバ 宮崎県都城市に初のコラボ施設 2026年春オープン2024年7月24日
-
必要な機能だけを備えた農機具のプライベートブランド「NOUKINAVI+」開始 唐沢農機サービス2024年7月24日
-
えだまめ選手権で日本一 新潟県妻有地域発ブランド枝豆「つまりちゃまめ」デビュー 柳農産2024年7月24日
-
胚移植の活用で乳牛の妊娠をより確実に 乳牛繁殖の効率化へ貢献 北大、農研機構など2024年7月24日
-
配送センターの夏まつり「おやこフェス」8月4日に開催 パルシステム群馬2024年7月24日
-
農作業事故をVRで体験 東京都立農業高校で農作業安全授業を開催 JA共済連2024年7月24日
-
雪印メグミルク保有 ビフィズス菌「SBT2786」睡眠改善効果を確認2024年7月24日
-
秋のさつまいも博「超芋まつり」川崎市等々力緑地で開催2024年7月24日