【豚コレラ】ワクチン接種へ 新たな防疫指針-農水省2019年10月11日
農林水産省は10月10日、食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会を開き、豚への予防的ワクチンの接種を可能とする新たな防疫指針を決めた。ワクチン接種地域は野生イノシシの感染が確認されている地域を基本とする。早ければ10月中にも接種が始まる。
10月10日の家畜衛生部会
防疫指針の改正案について国民から意見聴取と都道府県知事からの意見を聞いた。
都道府県知事からは野生イノシシの感染が確認されている都道府県だけではなく隣接する都道府県の意向をふまえ、全国を含めて広域的に接種地域を設定するよう求める意見も15件あった。しかし、農水省はこれまでの専門家による委員会(牛豚疾病小委員会)の意見をふまえ、あくまで野生イノシシの陽性確認状況をふまえ、地域限定的に感染リスクに応じて設定することとした。
地域の設定にあたっては感染イノシシの確認状況、野生イノシシの生息状況、周辺農場数、幹線道路・山・河川などの地理的状況といった農場周辺の環境を考慮してワクチン接種推奨地域を決める。
推奨地域に設定された都道府県はワクチン接種プログラムを作成し、そのプログラムを農水省の専門家委員会の意見をふまえて国が確認する。
現在、野生イノシシの感染が確認されているのは、岐阜県、愛知県、三重県、福井県、長野県、埼玉県、滋賀県、富山県、石川県、群馬県の10県でこれらの県が推奨地域に設定される。
ワクチンを接種すると、接種豚は発症しない、飼養農場は安心感が得られるなどのメリットがあるが、一方、野外感染豚とワクチン接種豚が区別できないため、豚の移動制限などの措置が必要になるほか、清浄国から非清浄国となるなどのデメリットもある。
新たな防疫指針ではワクチンを接種した豚や精液、受精卵などの接種区域外への移動を原則禁止とする。
生きた豚のと畜場への出荷は、原則として接種区域内のと畜場への移動に限定するが、接種区域外のと畜場への出荷も交差汚染防止対策が実施されている場合は可能となる。また、適切に交差汚染防止対策が実施されている場合は、ワクチン接種を理由に豚の搬入を拒否してはならないとされている。
種豚は広域に農場へ出荷されるため接種したとしても区域外への移動を認めるべきとの意見も寄せられた。これについては農水省は専門家の意見もふまえて早急に検討を進める方針だ
なお、精肉や加工品などの流通制限は行わない。
予防的ワクチン接種を可能とした新たな防疫指針でも飼養衛生管理基準の遵守が極めて重要であることを強調した。発生時には、都道府県が疫学関連家畜を早期に発見し厳格に管理することを加えた。
野生イノシシの感染状況把握や、捕獲強化と経口ワクチンの散布も実施するほか、農場での防疫措置としてネズミなどの小型野生動物が媒介する可能性もあることから、粘着シートの設置や殺鼠剤、消石灰の散布を行うことも防疫措置に明記した。
発生農場が経営再開する場合にはモニター豚を導入して清浄性を確認するための検査も実施するとした。
家畜衛生部会では生産者委員から「農場は自分でしか守れない。改めて生産者に向けて(防疫措置の)徹底を呼びかけてほしい」との意見も出た。
ワクチン接種は早ければ10月中にも始まる。都道府県知事の命令に基づく自治事務だが、農水省は「県と一体となって取り組んでいく」と強調した。正しい情報発信による風評被害対策も課題となる。
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