イチゴのハダニなどに注意を【病害虫発生予報第9号】2019年11月14日
農林水産省は、向こう1か月の主要な病害虫の発生予察情報を発表した。
野菜類では、イチゴのハダニ類の発生が、中国、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されている。農水省は、ほ場の観察をきめ細かく行い、都道府県から発表される発生予察情報等を参考に適期に防除するよう呼びかけている。
◎イチゴ
イチゴではアブラムシ類の発生が、東海、中国及び北九州の一部の地域で多くなると予想。アブラムシは作物を加害し、多くの病原ウイルス病を媒介する。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施する。
同じくイチゴでは、ハダニ類の発生が中国、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されており、愛媛県と長崎県では注意報が発表されている。いずれの害虫も薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定し、農薬散布だけでなく、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討する必要がある。
◎キャベツ
黒腐病の発生が、南関東及び東海の一部の地域で多くなると予想。本病は、降水量が多いと発生が助長される。特に、植物体に傷がつくと、病原菌の侵入口となり感染しやすくなるため、台風等の影響があった地域では、ほ場の観察を行うとともに、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、防除を行う。
◎トマト
コナジラミ類の発生が、東海及び四国の一部の地域で多くなると予想されており、愛知県では注意報が発表されている。コナジラミ類は、作物を加害するほか、多くの病原ウイルス病を媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施する。また、薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。農薬散布のみならず、天敵による生物的防除等の各種防除手段を組み合わせた防除の実施についても検討する。
◎アブラナ科野菜
コナガの発生が、南関東及び東海の一部の地域で多くなると予想。本虫は薬剤抵抗性が発達しやすく、ジアミド系の一部の薬剤での感受性の低下が報告されている。都道府県から発表される発生予察情報等を参考に薬剤を選定するなど防除を的確に実施する。
果樹や茶では、翌春の病害虫防除を効率的かつ効果的に実施するため、病害虫の越冬量を低下させ、翌春の発生を抑制することが重要。果樹の病害対策として、感染落葉やり病部を除去するとともに、翌春までに園外に持ち出すか、土壌中にすきこむ等、適切に処理すること。
また、虫害対策として、ハダニ類及びカイガラムシ類の発生が多かった園地では、粗皮削りやマシン油散布による防除を実施する。茶のカンザワハダニが多発した園地では、秋整枝後の薬剤散布等の防除を行う。
◎ツマジロクサヨトウ対策について
ツマジロクサヨトウの発生が7月3日、鹿児島県で初めて確認されて以降、複数府県で確認されている。本虫の防除には、早期発見が重要であることから農水省は、疑わしい虫を見つけた場合は、都道府県病害虫防除所または植物防疫所まで連絡するよう呼びかけている。
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