「棚田」の認知度 学校教育で高まる-農水省調査2019年11月26日
農林水産省が初めて調査した棚田に関する意向調査結果によると、階段状の田んぼを「棚田」と呼ぶことを「知っている」と回答した割合は86.7%だった。20歳~29歳でも81.8%と高く、棚田と呼ぶことを知った機会として6割が「身近にはないが学校等で教わった」を挙げた。
調査は令和元年8月下旬から9月上旬にかけて棚田の保全や支援の必要性に対する意識と、農業・農村の多面的機能に対する認識について、全国の20歳以上を対象に1102人から回答を得た。
階段状の田んぼを「棚田」と呼ぶことについて回答者全体で「知っている」との回答は86.7%、「知らない」は13.3%だった。どのような機会に知ったかについて「身近にはないが、本やテレビ等で知った」が35.9%ともっとも多く、ついで「身近にはないが学校等で教わった」が33.4%だった。
20~29歳では「身近にはないが、学校等で教わった」が63.0%と他の年齢層にくらべて高かった。若い年代では学校教育が影響していることがうかがわれる。
棚田に期待することは「景色を楽しみたい」がもっとも多く67.4%、ついで「何もしなくても十分」27.7%、「写真を撮ったり絵を描きたい」24.1%だった。
棚田を将来に残していきたいかについては、「すべての棚田を残したい」16.6%、「一部の有名な棚田だけは残したい」7.9%で、もっとも多かったのが「知名度は高くないが地域で守ろうとがんばっている棚田は残したい」で51.4%だった。
棚田を維持・保全するために必要な支援では「国や地方公共団体が支援する」が63.5%ともっとも高く、次いで「企業が地域貢献の一環で支援する」47.3%、「棚田を守りたいと思っている人が支援する」43.2%の順だった。
一方、農業・農村の多面的機能についての意識調査では、多面的機能のなかでとくに重要だと思うのは「雨水を一時的に貯めて洪水を防ぐ」が57.2%ともっとも高く、ついで「田畑が水路や多様な生きもののすみかになる」39.1%、「作物や水田に貯められた水が土砂の流出を防ぐ」36.8%の順となった。
アンケートでは、農業・農村には食料を生産すること以外に洪水の防止や自然環境の保全、良好な景観の形成などの役割があることについて、「知っている」と回答した割合が48.9%、「知らない」が51.1%だった。また、「知っている」と回答した人のうち、この役割を「多面的機能」と呼ぶことを「知っている」のは23.0%だった。
「多面的機能」という言葉は20年前の食料・農業・農村基本法のなかで定義されたが、まだまだ認知度は低いといえる。ただ、多発する自然災害の影響もあってか、水田のダム機能など「雨水を一時的に貯めて洪水を防ぐ」機能についてとくに重要だとする回答は57.2%ともっとも多かった。
一方で分かりにくい多面的機能としては「医療・介護・福祉の場となる」という農村のアメニティ機能で51.6%が「分かりにくい」と回答した。
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