規模の大小問わず支援-政府、TPP大綱を改訂2019年12月6日
政府は日米貿易協定の国会承認を受けて12月5日、TPP等総合対策本部を開き「総合的なTPP等関連政策大綱」を改訂した。改訂された大綱では農業者への支援措置を「規模の大小を問わず意欲的な農林漁業者がその創意工夫を最大限発揮できるように配慮する」と明記した。
TPP政策大綱の改訂や総合経済対策を発表する西村康稔経済再生担当大臣
日米貿易協定が発効すると、昨年12月に発効したTPP11、今年2月に発効した日EU・EPAと合わせて世界のGDPの59%、貿易額23兆ドル、人口13.4億人の市場となる。政府はTPP等を通じ農林水産物のさらなる輸出拡大など競争力強化を図る対策を大綱に盛り込む改訂を行った。
大綱には、高品質な日本の農産物を求める海外の需要や現時点で輸入品で賄われているが今後も需要の伸びが見込まれる国内生産を拡大するため生産基盤の強化が必要だと明記した。
そのためロボット、AI、IoTを活用したスマート農業などの技術革新を活かした生産性向上と、中山間地域など条件不利地域を含めて供給力を確保するため生産や流通の現場の体制強化や経営継承の促進、新たな市場に挑む意欲的な人材の確保などを進める。
また、輸出の促進については政府全体の司令塔機能を農水省に設置し必要な体制を整備する。
協定発効後の動向もふまえ、確実に再生産が可能となるよう生産基盤の強化を図るともに、「経営安定・安定供給へ備えた措置を講じることにより、意欲ある農林漁業者が安心して経営に取り組めるようにする」と明記した。
また、これらの措置について、わが国では中小・家族経営がほとんどを占めていることから、規模の大小を問わず政策の対象とする方針を新たに示した。
具体的にはスマート農業の活用を中小・家族経営や条件不利地域も含めて支援するとした。また、担い手の確保に向けて就職氷河期世代を含む幅広い世代を新規就農者として確保するなどの方針も示した。
そのほか、わが国が開発した優良な植物新品種について海外での品種登録(育成者権取得)を進め、海外での適切な権利行使を促進する。和牛遺伝資源については流通管理対策を実施し、知的財産的価値の保護も推進する。
今後の対応として、日米貿易協定発効後の実際の輸入状況などを見極めてつつ、TPP11協定との関係も含めて、「適切なタイミングで関係国と相談を行っていく」と明記した。発効後の輸入動向など、国内農業への影響の見極めと、経営規模を問わない支援策の具体化が注視される。
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