新たな基本計画を答申-新型コロナ対策も盛り込む-食農審2020年3月25日
食料・農業・農村政策審議会は3月25日、新たな食料・農業・農村基本計画について江藤拓農林水産大臣に答申した。政府はこれをもとに3月末にも閣議決定する。カロリーベースの食料自給率目標は現行計画と同様、令和12年度に45%への引き上げをめざす。基本計画には新型コロナ感染症の拡大を受けて、新たな感染症への対応について記述を加えた。また、食と農に関する国民運動の展開等を通じた国民合意の形成についても新たに記述した。
高野会長から答申を受ける江藤農相
今回の基本計画は、農業者の減少といっそうの貿易自由化のなかで経営規模の大小や中山間地域といった条件に関わらず農業経営の底上げにつながる生産基盤の強化を図ることを打ち出した。
農村政策を重視し、地域の維持と次世代への継承のために田園回帰の動きにも着目し、多くの関係者が農村に関わる視点や施策も重視した。
食料自給率はカロリーベースで45%(30年度37%)、生産額ベースで75%(同66%)としたほか、飼料自給率を34%(25%)、飼料自給率を反映しないカロリーベースの食料国産率を設定し53%(同46%)を目標とした。
そのほか、国内生産を強化し輸出に仕向ける努力を行うとし、2030年に輸出額5兆円を目標とした。
消費者や農協などを含め官民が協働した新たな国民運動を展開することも打ち出し、農は国の「基」であるとの認識が国民全体で共有され理解と支持が得られる施策を講じることも明記した。
JAグループについては農村地域の産業・生活のインフラを支える役割を果たす組織と明記し、経営の持続性が確保できるよう引き続き自己改革を促した。
議論の終盤で新型コロナ感染症対策も盛り込まれ、内需・外需の喚起と生産基盤の安定化に向けて対策を機動的に実施するとした。
食料・農業・農村政策審議会の高野克己会長から答申を受けた江藤拓農相は、「大臣就任以来、生産基盤の強化と条件や規模の大小に関わらず農林水産業全体の底上げをはかっていくことが求められると申し上げてきた。そのなかで昨年は大雨、台風、CSFの発生、そして今は新型コロナの発生で非常に厳しい状況になっている。
今回は基本計画を作っていただくなかで刻々と状況が変わり、5年前よりもさらに智恵を出していただかなければならない状況だったと思う。最終的な閣議決定には至っていないが、答申が大きな基本となる。みなさんの意向を十分反映したかたちで閣議決定を迎えたい」と述べたうえで、基本計画は基本法に基づいて決定するものであることに触れ、「基本法はあらゆるもの上位に来るものだと私は考えている。これに基づいてしっかりと産業政策と地域政策のバランスをとりながら(農政を)行っていきたい」と話した。
※高野克己 氏の「高」の字は本来異体字です。
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