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日本経済 深い景気後退局面入り-三菱総研2020年4月7日

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 三菱総研は新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大をふまえ世界経済、日本経済の成長率見通しを改定した。経済活動抑制のピークアウトが12月末の場合、日本経済の損失は▲16兆円となると予測した。4月6日に発表した。

 三菱総研は今後の感染拡大ペースや終息時期も不透明であるとして、世界経済・日本経済の見通しを2つのシナリオで示した。

 シナリオ1は、経済活動抑制のピークアウトが6月末の場合。この場合、20年の世界経済成長率見通しをコロナ危機前の前年比+2.7%から+0.5%へ下方修正する。米国は▲0.4%、欧州▲1.9%、中国は+2.3%と予測。経済損失は世界全体で200兆円となる(GDP比で2.2%)。

 シナリオ2は、経済活動抑制のピークアウトが12月末の場合。この場合、世界経済成長率は前年比▲0.5%となるとマイナス成長を予測。リーマンショック時の2009年以来となる。米国は▲1.7%、欧州は▲3.3%、中国+0.4%と予測。経済損失は世界全体でGDP比3.4%にあたる320兆円となる。

 三菱総研は新型コロナウイルスは、終息後の国際社会に「大きな爪痕を残しかねない」と指摘。排他的風潮の強まりや感染源をめぐる米中対立で世界の分断が一段と加速する可能性があることや、各国で失業が発生し所得格差が拡大すれば社会の分断を一段と深めかねないという。

 その一方で今回の教訓から世界でデジタルシフトが一気に進み、新ビジネスが創出される可能性も秘めているとの見方も示している。

 日本経済については消費増税の影響にコロナ危機が加わったことで「深い景気後退局面入りを予想」とした。ただ、同総研が3月末に緊急実施した5000人の生活者調査では感染終息後は消費を平時の水準に戻す意向が確認されているといい、「潜在的需要は蒸発していない」として、この厳しい局面で企業の資金繰りと雇用が維持されることが重要だと指摘している。

 日本経済のGDP成長率は、シナリオ1では2019年度は▲0.3%、20年度は▲0.5%と予測。経済損失は10兆円(GDP比1.7%)となる。

 経済活動抑制が年末まで続くとするシナリオ2では、20年度のGDP成長率は▲1.7%までマイナス幅が拡大すると予測。経済損失は16兆円(GDP比2.9%)と見込む。

 同総研は危機克服に向けた経済対策を提言。倒産、失業、生活困窮の負の連鎖を阻止するため、未来の売上げを前借するための商品券、食事券や指定ウェブサイトでの割り引き販売や、企業の資金繰り支援と雇用維持へのさらなる拡充、生活困窮者への現金給付を感染終息宣言まで継続することなどを提言している。

 また、遠隔診療やオンライン学習などデジタルシフトで感染症、自然災害、人口減少に強いスマート社会を創出することも提起している。

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