東京農大一高生物部が 「つくばScience Edge 2020」金賞受賞2020年4月14日
東京農業大学は4月13日、同第一高等学校の生物部(東京都世田谷区)が、「中高生国際科学アイデアコンテストつくばScience Edge 2020」(主催:つくばScience Edge 2020実行委員会)で金賞を受賞したと発表した。
農大一高生物部尾瀬調査隊
「つくばScience Edge」は、全国の中高生の団体・グループが、主体的に考えた研究・技術のアイデアをポスターセッションで発表するコンテスト。今年は、新型コロナウイルスの影響により、コンテストは中止となったが、応募時に提出したアブストラクト(発表趣旨)の書面審査が行われた。
同校生物部は、1960年の創部以来、自然を体験し学ぶことをモットーに活動。特に野外での調査の記録は中高生の研究としてだけでなく、長期間の自然の変化を示す重要な資料として認められている。
今回の「つくばScience Edge 2020」には、「尾瀬国立公園の伐採木を活用した年輪による環境分析」というテーマを提出した。同研究は、同部の先輩から30年間にわたって継続して調査してきた尾瀬国立公園の鳩待峠登山道の過剰入山者数と、登山道脇樹木の健康度低下の影響についてまとめたもの。尾瀬国立公園では保護と同時に、気象記録も行われた。
そこで、同部が注目したのが、2017年に伐採された登山道入口のブナの巨木。鳩待峠から尾瀬に入った人が必ず目にした、あのシンボルツリーが、今は人知れず伐採され看板の後ろに打ち捨てられている。この木の隣には、1989年に入山者数の影響を科学的に検証するためカウンターが設置された。
今回の研究で同部は、尾瀬国立公園の気象記録とカウンターに対応する、今までは放置され打ち捨てられてきた登山道脇の伐採木を有効活用し、この木から採取した年輪から、影響を及ぼした環境の変化を分析する手法を確立。その結果、平成期30年にわたる長期の年輪の記録から、近年、尾瀬にも温暖化の影響が及び、ブナの成長期とミズバショウシーズンの入山のピークが一致し、入山者の踏圧がブナの健康度が低下した事実を突き止めた。
創部60周年を迎えた同部は、今後も自然環境についてフィールドでの研究をモットーに活動を続けていくという。
年輪幅の変化
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