20年度の実質GDP成長率 前年度比▲2.2% 三菱総研2020年4月15日
三菱総合研究所は4月13日、7日に発出された7都府県への緊急事態宣言と同日に発表された緊急経済対策を受けて日本経済の成長率見通しを改定した。
日本の実質GDP見通し
同総研は新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の抑制期間に応じてシナリオ(1)経済活動抑制期間が6月末でピークアウトし7月以降の徐々に正常化、シナリオ(2)12月末でピークアウトし来年1月以降に徐々に正常化、の2つをケースで予想した。
緊急事態宣言を発出をうけて、7都府県とその周辺地域ではこれまで以上に経済活動の縮小が予想される。欧米の都市封鎖(ロックダウン)にくらべると制限は緩いが、首都圏、関西圏と対象地域のGDPは日本全体の5割を占めることから日本経済への影響は大きい。
同総研は20年度の実質GDP成長率はシナリオ(1)で▲2.2%ポイント程度、シナリオ(2)で▲3.3%ポイント程度押し下げられると予測している。
一方、政府は予算規模39.5兆円、事業規模108.2兆円の緊急経済対策を発表したが、一部は昨年12月に発表した経済対策だ。そのため今回の緊急事態宣言などの影響に対して中小企業や収入が減少した世帯への給付金などが含まれるのは20年度補正予算で16.8兆円となる。
この対策の経済効果は20年度実質GDP成長率を+1.1%押し上げると予測する。今回の経済対策は中小企業の資金繰りや家計の生活支援が中心で全国民一律の給付にくらべれば生活費などに回る割合は高いと見られるが、感染拡大や緊急事態宣言によって消費が制限される可能性もあると指摘している。
これらを反映した結果、実質GDP成長率はシナリオ(1)の場合は、対前年比▲1.6%(前回は同▲0.5%)、シナリオ(2)の場合は同▲3.9%(前回は同▲1.7%)と予想を下方修正した。いずれも2年連続でのマイナス成長の予想となった。とくにシナリオ(2)の▲3.9%はリーマンショックの08年の▲3.4%を上回るマイナス幅となる。
さらに爆発的な感染拡大や緊急事態宣言の対象地域が拡大した場合、内外経済が一段と下振れし経済の停滞が長期化するリスクも想定しておく必要があるとしている。
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