【数字で見る日本の農業】第1回 農業生産力強化が急務 進む耕地の減少、従事者の高齢化2020年4月23日
3月31日閣議決定した「食料・農業・農村基本計画」では、改めて日本の多様な農業が見直され、大型経営だけではなく中小規模経営の役割も計画のなかに位置づけられた。この背景には今日、急ピッチで進んでいる農業従事者の高齢化・減少、荒廃農地の拡大、さらには、その結果として食料自給率の低下など、農業生産力の低下に対する危機感がうかがえる。基本計画が映し出す農業生産の実態を「農林水産統計」(令和元年版)をもとに、数字で追ってみる。
高齢化で耕作放棄された水田(中国地方)
<農地>
◆農地減少進む 5年で10万ha
農業生産力の指標として最も大きな要素は農地と労働力である。この二つの減少が、この数年著しい。田畑の耕地(農作物栽培を目的とする土地。畦畔を含む)面積をみると、平成30年は442万ha。うち、田が240.5万haで全耕地の54%を占める。26年から5年間でほぼ10万ha、1960年代の600万haに比べ150万ha以上の減少で、北海道の全耕地(114万ha)の約1.3倍の耕地が消えたことになる。
これを裏付けるものとして荒廃農地面積をみると、平成29年全国で28万3000ha。別にかつて耕地であった耕作放棄地が39万ha余りあり、合わせて70万ha近くが未耕作地になっている。これは群馬県の全耕地(68万ha)に匹敵する。
生産力維持のため、耕地の減少をカバーするのは利用率だが、こちらは全国92%前後で頭打ち状態が続いており、多くの地域で1年1作にも達していないことを示す。ただ冬作の可能な九州は29年102.1%と唯一100%を超える。県別では佐賀がトップで131.1%、次いで福岡(112.5%)。宮崎(107.0%)など、水田裏作の可能な野菜果樹地帯が続く。最も低い地区は中国ブロックの77.5%。

また、土地・労働生産性を高めるために必要な田畑の整備はある程度進んでいる。30a以上区画整備ができている田は、29年の全国で65.3%。北海道が96.3%、福井県91.2%と高く、農業県では和歌山(4.1%)、徳島(15.1%)、香川(25%)などが低い。ただ、区画整理50a以上となると、全国では10.2%、北海道でも24.1%に過ぎず、大区画圃場への取り組みの遅れが目立つ。

一方、畑のかんがい施設は、全国で24%が整備されている。県別では愛知(59.9%)、沖縄(58.8%)、佐賀(53.7%)、愛媛(49.2%)、鳥取(47.6%)、香川(41.8%)など、西南暖地の野菜・果樹産地で整備が進んでいる。
西南暖地の畑作地帯は耕地利用率が高い(長崎県島原半島)
<経営耕地面積>
◆耕地の約半分 10ha以上層に
農業1戸当たりの経営耕地面積は27年の全国平均で1.43haで北海道20.5ha、都府県1.03ha。販売農家に絞ると全国2.20ha、北海道23.81ha、都府県1.57haになる。また農業経営体の経営耕地面積規模別経営耕地面積では全国で、3ha未満が33%、3~10haが19%、10~20haが10%、20~30haが7%、30~50haが10%、50ha以上が20%になっている。つまり10ha以上の経営が、全国の耕地面積の半分近くを占めていることになる。



参考までに欧米等の平均経営面積は、日本の2.99ha(1経営体当たり。採草・放牧地を除く)に対して、米178ha、EU16.1ha、ドイツ58.6ha、フランス58.7ha、英国92.3ha、オーストラリア4477ha。倍率で米国は日本の60倍、オーストラリアは1497倍になっている。(次回は「農業労働力」について)

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