食農ビジネスのヒントに-農水省が多様性シンポの報告書公開2020年5月8日
農水省は、2月に開いた生物多様性保全を重視した食農ビジネスを進めるためのシンポジウムについて、動画を含めた議事録(報告書)を、このほど同省のホームページで公開した。持続可能な生産・消費を実現するためのヒントとなる事例を紹介している。
シンポでは末松広行農林水産事務次官が冒頭、「我々が日常的に消費する食料も、世界の生物多様性との関わりがあるとの認識が広がりつつあり、生物多様性を最大限尊重しながらビジネスにもつなげていき、人々が健康で豊かな生活を送ることにもプラスになる道がきっとあるはずだ」と、食と農のビジネスの広がりに期待を述べている。
事例紹介では、(株)大和総研調査本部の河口真理子研究主幹が、企業や投資家の生物多様性との関わりについて、「金融は、気候変動の次のリスクとして生物多様性や自然資本が重要な要素になることを認識し始めている」と指摘。
またネスレ日本(株)の阿部純一コーポレートコミュニケーション室長は、食品企業として、サプライチェーンの管理は重要な課題であり、ネスレとして「責任ある調達」基準をつくり、農村開発と貧困緩和を両立させるネスレカカオプランやネスカフェプラン等を進めていることを紹介。
家族経営の視点からも、NPO法人田舎のヒロインズの大津愛梨理事長は再生エネルギー100%利用(RE100)農家を目指し、バイオディーゼル、ソーラーシェアリングなど、幅広く取り組んでいることを報告している。
いきもの(株)の菊池紳・代表取締役は「全ての資材を海外から購入するのは高コスト。一方で生態系サービスが失われるとは、つまり原材料の調達コストが上がるというビジネスリスクが生じるということではないか」と問題提起する。
また情報の信頼性について(株)電通の鈴木淳一・イノベーションイニシアティブプロデューサーは、ブロックチェーン技術を使うことで信頼性を確保するとともに、多様でニッチな価値観を持つ消費者をつなげてファンのコミュニティを形成し、第3者認証では実現が難しい価値を生むことが可能だと指摘」し、宮崎県綾町の自然生態系農業を対象に実証実験を紹介している。ホームページでは、これら事例をもとに行ったトークセッションの内容も詳細に報告している。
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