476戸中、1戸で農薬の不適切な使用を確認 農薬の使用状況と残留状況調査 農水省2020年5月18日
農林水産省は5月15日、平成30年度の「国内産農産物における農薬の使用状況及び残留状況」について公表した。
同省は、農薬の適正使用を推進し、安全な農作物の生産に資するため、農家での農薬の使用状況と生産段階における農産物で農薬の残留状況について調査を実施している。
◎調査結果
農薬の使用状況については、476戸の農家に対し、記入簿への記入または聞取り調査を行った。
その結果、調査した農家のうち、1戸の農家で、使用量が適切でなかった事例があり、残りの475戸では、農薬が適正に使用されていたことを確認した。農薬の不適正な使用があった1戸の農家には、地方農政局と都道府県から、農薬の適正使用の徹底を図るよう指導を行った。
また、農薬の残留状況では、476検体の農産物について、のべ2896種類の農薬と作物の組み合せの残留状況を調査。その結果、不適正な使用のあった農家の1検体を含むこまつなとにんじんの2検体が、食品衛生法(昭和22年法律第233号)に基づく残留基準値を超える農薬を含んでいた。その他の検体は、残留基準値を超えていなかった。
残留基準値を超えた2検体のうち、不適正な使用のあった農家の検体であるこまつなの1検体については、基準値(0.1mg/kg)を超える濃度のダイアジノン(0.5mg/kg)が検出された。該当するこまつなを栽培した農家を調査したところ、ダイアジノン粒剤を使用する際に、使用量を正確に計量せずに、使用基準より多く使用していたことが原因であると考えられる。
また、2検体のうち、にんじんについては、基準値(0.03mg/kg)を超える濃度のイミシアホス(0.06mg/kg)が検出された。該当するにんじんを栽培した農家を調査したところ、ほ場が砂地で乾燥状態にあったこと、イミシアホス粒剤を使った時期の降雨が例年より少なかったことから、土壌中に水が行き渡らず、長期間土壌に残留。その後、にんじんの生育期の降雨によりイミシアホスが拡散され、にんじんの根から吸収されたことが原因であると考えられる。
なお、当該農作物のそれぞれ通常想定される量を摂取した際の各農薬の摂取量は、健康に悪影響を示さないと推定される摂取量と比べ小さいことから、短期的または長期的に健康に影響を及ぼすおそれはないという。
◎調査結果を受けた対応
この調査結果を受け同省は、不適正な使用が認められたこまつなを栽培した農家に対しては、地方農政局と都道府県から農薬の適正使用の徹底を図るよう指導。また、にんじんから残留基準値を超過した農薬が検出された事案については、降雨が例年より少ないことなど土壌が乾燥している場合であっても、イミシアホスが土壌中に拡散されるよう、「土壌が乾燥している場合は、処理後に十分散水する」旨の使用上の注意事項を農薬ラベルに追記する。
今後は、都道府県などにこの結果を通知し、引き続き、農薬の適正使用が徹底されるよう農家等への指導を実施する予定。
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