水田フル活用し非主食用米へ転換を-JAグループ水田農業対策2020年6月11日
JA全中は6月の理事会で令和3年度水田農業対策に関する基本的考え方を決めた。全中の試算では2年産の主食用米が前年並みとなると作況100で20万tの過剰となる懸念があるなか、当面は飼料用米への仕向けを増やした営農計画を提出するなどの取り組みを進め、出来秋には用途別に需給に問題が生じた場合の対策を検討しておくことが必要だとしている。
新型コロナウイルス感染症の拡大で中食・外食向けの需要が大きく減っており元年産米は業務用の販売促進が課題となっているが、2年産以降は毎年需要が10万t減少するなか、米全体の需給安定のためには非主食用米への作付け転換がいっそう求められている。
そのためにJAグループは水田フル活用に関する交付体系や予算を恒久的に維持・確保することが必要だとしている。令和2年度予算では水田活用の直接支払交付金を前年度より89億円多い3050億円を確保した。
そのなかで麦・大豆の増産を支援するため転作作物拡大加算を拡充。10aあたり5000円上乗せし1.5万円となった。また、所得向上支援策として高収益作物等拡大加算も10aあたり1万円を上乗せし3万円となった。
そのほか飼料用米・米粉用米の複数年契約加算も新たに加わり10aあたり1.2万円が措置されている。
JAグループは予算の維持・確保とともに活用実態を検証して、交付金の一括申請など、地域で使いやすい運用をしていくことが必要だとしている。
麦・大豆は新たな基本計画で令和12年度までに小麦は108万t、大豆は34万tと意欲的な目標を掲げている。この生産努力目標の達成には、単収・品質向上に向けた機械などの導入や新品種への転換、ほ場条件の改善への支援強化などについて思い切った施策が必要だと主張していく。
また、新たな基本計画で中小・家族農業など、多様な農業者や中山間地域を含めた農村政策の総合化が打ち出されているなか、水田農業の生産基盤強化はまさに重要な取り組みとなる。そのためにJAグループは、農地維持支払を含めた日本型直接支払や、ゲタ・ナラシ対策の充実を図ることや、集落営農の組織化や法人化をすすめる支援も必要だと主張していく。
種子・種苗対策では、種子と種苗の安定的な確保と開発のために、引き続き国や都道府県が主体な役割を果たすことを求めていく。同時に半数が昭和に設置された種子センターの補改修や種子生産者の高齢化対策、夏場の異常高温に対応できる水稲や園芸作物の品種改良など公的機関での開発支援を強化することが必要だと主張していく。
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