オンライン活用などで日本産食材の輸出活性化策打ち出すージェトロ2020年6月11日
ジェトロ(日本貿易振興機構)は、新型コロナウイルスの影響により低迷する日本産農林水産・食品の輸出活性化に向け、「最新の海外市場動向の収集・提供」「オンラインによる個別商談機会の提供」「海外におけるプロモーション」を3本柱とする新たな取り組みをスタートする。今年度後半からは、「オンラインによる見本市・商談会」「海外バイヤー向け日本産商品データベースの充実」を図り、輸出事業者に新常態(ニューノーマル)における販路発掘・拡大の機会を提供していく。
コロナ禍により、従来から日本産の農林水産品・食品の主要輸出先であった海外の和食レストラン(特に高級店)向け需要が減退し、日本産食品の輸出に貢献してきたインポーターなどの経営が深刻な状況になっている。
一方、巣ごもり消費の拡大に伴い小売・中食・デリバリーなどの市場が伸張している。これまで築いた取引関係を生かし継続・拡大している事業者や商品もあるが、多数の事業者は商談が中断し輸出が縮小している。
その結果、2020年4月の我が国の農林水産・食品輸出は、前年同月比10.4%減の739億円となった。主要輸出先である香港・米国・韓国は減少が続くが、中国は減少から増加に転じ台湾・ベトナムは増加幅を拡大させており、商流が活性化している動きもある。
ジェトロが農林水産・食品関連の国内事業者にアンケート調査を行ったところ、ビジネスへの影響が大きい事象として営業活動・見本市・商談会などの中断があり、ウェブサイトやテレビ会議システムを活用した商談支援に期待を示す向きもあった。
こうした状況を踏まえ、ジェトロは新たな取り組みにより日本産農林水産品・食品の輸出回復と拡大に注力する。
現在、世界中の海外事務所とともに具体的な取り組みを推進中。香港を含む中国やシンガポール、マレーシア、豪州など経済活動が期待される地域においては、6月中に具体的な取り組みが始動する予定。欧米では現地情勢を踏まえて取り組みの具体化を早急に行う計画。
◆今回スタートする取り組み
1、海外情報の収集・発信
刻一刻と変わる現地市場の状況を、国内事業者にリアルタイムで提供。主要市場である香港などは、原則、月1回情報を定期的に発信する。
2、オンラインによる商談機会提供
デジタル技術を活用した臨機応変なマッチングにより、タイミングを逃さず日本産商品の輸出につなげる。遠隔地にいるバイヤーの関心を引くため、国内企業の個別商品について映像・写真、商談資料の作成を支援しながら、特定の品目や産地・テーマに着目したコンテンツも作成する。試食用サンプルの輸送も支援する。
3、海外におけるプロモーション
実際に動いているモノの流れ、今後拡大が期待されるトレンドに日本の商品を組み込むため、現地日本産食材サポーター店(飲食店・小売店)やインポーターによるプロモーション活動を支援する。
◆今年度後半からの取り組み計画
1、オンラインによる見本市・商談会
輸出事業者にとって重要な商談機会の場であった海外見本市・商談会などについては、実施および日本からの参加が不確実な情勢。こうしたリスクを最小化するため、イベントについてはオンラインによる参加とする。
海外見本市へのオンライン出展(リモート商談)は、参加バイヤーが欲しい商品を容易に発見できるよう商品を陳列するとともに、必要な情報を即座に提供。同時に、リモート商談ブースで日本のサプライヤーとスムーズに商談できるシステムを構築する(10月開始予定)。
海外および国内の商談会については、国・バイヤー・産地・テーマなど様々な単位で最適な商談会をデジタルで実施する。
2、国内事業者と海外バイヤーをつなぐプラットフォーム構築
中小零細を含む国内事業者の国際市場へのアクセスのハードルを下げるため、日本商品のラインアップを取りそろえたデータベースの構築を進め、収載情報を海外バイヤーに常時提供。海外のバイヤーが欲しい時に欲しい商品を見つけ、具体的な商談をすぐにスタートできるプラットフォームを構築する。
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