果樹カメムシ類の発生、本州以南で多くー病害虫発生予報・農水省2020年6月11日
農林水産省は6月10日、「令和2年度病害虫発生予報第3号」を発表した。
向こう1か月の主要な病害虫の発生予察情報によると、水稲では縞葉枯病の発生が北海道および北関東の一部地域で多くなると予想している。
野菜類では、ねぎのアザミウマ類の発生が南関東、北陸、四国および北九州の一部地域で多くなるもよう。
果樹では、果樹カメムシ類の発生が本州以南の一部地域で多くなると予想しており、複数の県から注意報が発表されている。このほか、もものせん孔細菌病などの果樹の病害の発生が、地域によっては多くなるとみられる。
各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
縞葉枯病の発生が、北海道および北関東の一部地域で多くなると予想され、茨城県では保毒虫率が高いとして注意報が発表されている。
同病は、ヒメトビウンカが縞葉枯病ウイルスを媒介することにより発病するため、防除対策として抵抗性品種の栽培や当該虫を対象とした薬剤防除を実施することが重要。
育苗箱施用剤を施用した水田では、当該虫を対象として薬剤散布をする場合、薬剤抵抗性の発達を助長しないよう、同一系統の薬剤の連続使用を避けるよう求めている。
◎野菜・花き
・ねぎ
アザミウマ類の発生が、南関東、北陸、四国および北九州の一部地域で多くなると予想される。同虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルスを媒介することが知られている。発生密度が高くなると防除が困難になるため、ほ場の観察をきめ細かく行うとともに発生初期に防除を実施すること。
同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考にしながら同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する必要がある。
◎果樹・茶
・果樹共通
果樹カメムシ類の発生が、本州以南の一部地域で多くなると予想される。これまでに、富山・岐阜・愛知・滋賀・兵庫・奈良・岡山・山口・香川・愛媛・福岡・佐賀・長崎・熊本の14県から注意報が発表されている。
当該地域では、山林などでのカメムシ類の越冬量の調査や予察灯への誘殺数の調査などから、果樹園への飛来量が多くなるとして注意報が発表されている。
山林などの越冬場所から離脱した成虫は、気温の上昇とともに餌を求めて果樹園へ移動し、もも・なしなどの果実を加害する。昨年夏以降に同虫の発生が多かった地域では特に注意が必要。
同虫の飛来状況は地域や園地により異なるので、都道府県の発表する発生予察情報などを参考にしながら園内の観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は飛来初期から防除を実施すること。
・かんきつ
ハダニ類の発生が、四国および北九州の一部地域で多くなると予想される。園内を注意深く観察し、発生状況に応じて防除を実施すること。
かいよう病の発生が、中国および四国の一部地域で多くなると予想される。同病は、風雨やミカンハモグリガの食害による傷口から感染することから、対策に当たってはり病部の除去、降雨前の薬剤散布などの防除を実施するとともに、ミカンハモグリガの防除を実施する必要がある。
・なし
黒星病の発生が、北関東、北陸および中国の一部地域で多くなると予想され、福島・茨城両県から注意報が発表されている。昨年発生量が多かった地域で伝染源が多くなっていると予想されることから、特に注意が必要。
対策に当たっては、伝染源となるり病部の除去、ムラのない均一な薬剤散布等の防除を実施すること。
また、一部薬剤に対し耐性菌が発生しているので、都道府県から提供される発生予察情報などを参考に、効果的な薬剤による防除を実施することも求めている。
このほか、黒点病の発生が、四国の一部地域で多くなると予想されている。同病は保菌した枯れ枝が伝染源となるため、枯れ枝を確実に除去しなけばならない。降雨が続くと発生が助長されるため天候の推移に注意し、農薬の散布間隔が空きすぎないよう降雨の合間に薬剤を散布する。
・もも
せん孔細菌病の発生が、南東北、甲信、東海および中国の一部地域で多くなると予想され、福島県は注意報を発表した。
同病は、春期に枝に形成される春型枝病斑(スプリングキャンカー)が伝染源となり、降雨や風により発生が助長される。
前年に同病の発生が多かった地域では、当該病斑が形成されやすいため発生が多くなることが予想される。梅雨時期を迎え、同病の発生を助長する気象条件となるため注意が必要。
対策に当たっては、薬剤による防除を実施するとともに、薬剤散布だけでは不十分であるため園内を注意深く観察し、り病部を確実に除去すること。防風ネットの設置、早めの袋かけなど耕種的防除の実施も検討する必要がある。
・りんご
黒星病の発生が、北海道の一部地域で多くなると予想される。昨年発生量が多かった地域では、伝染源が多くなっているとみられることから特に注意が必要。
対策に当たっては、伝染源となるり病部の除去、ムラのない均一な薬剤散布等の防除を実施すること。
また、一部薬剤に対し耐性菌が発生しているので、都道府県から提供される発生予察情報などを参考に、効果的な薬剤による防除の実施も求めている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(132)-改正食料・農業・農村基本法(18)-2025年3月8日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(49)【防除学習帖】第288回2025年3月8日
-
農薬の正しい使い方(22)【今さら聞けない営農情報】第288回2025年3月8日
-
魚沼コシで目標販売価格2.8万~3.3万円 JA魚沼、生産者集会で示す 農家から歓迎と激励2025年3月7日
-
日本人と餅【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第331回2025年3月7日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「コメ騒動」の原因と展望~再整理2025年3月7日
-
(425)世界の農業をめぐる大変化(過去60年)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月7日
-
ラワンぶきのふきのとうから生まれた焼酎 JAあしょろ(北海道)2025年3月7日
-
寒暖差が育んだトマトのおいしさ凝縮 JA愛知東(愛知)2025年3月7日
-
給付還元利率 3年連続引き上げ 「制度」0.02%上げ0.95%に JA全国共済会2025年3月7日
-
「とやまGAP推進大会」に関係者約70人が参加 JA全農とやま2025年3月7日
-
新潟県産チューリップ出荷最盛期を前に「目合わせ会」 JA全農にいがた2025年3月7日
-
新潟空港で春の花と「越後姫」の紹介展示 JA全農にいがた、新潟市2025年3月7日
-
第1回ひるがの高原だいこん杯 だいこんを使った簡単レシピコンテスト JA全農岐阜2025年3月7日
-
令和7年度は事業開拓と業務効率化を推進 日本穀物検定協会2025年3月7日
-
【スマート農業の風】(12)ドローン散布とデータ農業2025年3月7日
-
小麦ブランの成分 免疫に働きかける新機能を発見 農研機構×日清製粉2025年3月7日
-
フードロス削減へ 乾燥野菜「野菜を食べる」シリーズ発売 農業総研×NTTアグリ2025年3月7日
-
外食市場調査1月度市場規模は3066億円2019年比94.6% コロナ禍以降で最も回復2025年3月7日
-
45年超の長期連用試験から畑地土壌炭素貯留効果を解明 国際農研2025年3月7日