水田の代かき時期を衛星データで高精度広域把握 農研機構2020年7月15日
農研機構は、晴天時に観測された短波長赤外域の衛星データを複数利用して、代かき時期(取水開始時期)を広域的・効率的に把握する手法を開発した。同手法では、衛星データで各観測日における水田の湛水有無を判別する。判別精度を検証したところ、97%と高精度であることを確認した。また、雲に影響されない合成開口レーダのデータも補完的に利用できるよう改良している。同手法は無償の衛星データを利用したもので、用水計画の見直しや利水調整のための農業用水の利用実態調査で活用できる。
地球観測衛星データを用いて作成した2018年の水田取水開始時期マップ(茨城県稲敷市の一部)
近年営農形態の変化に伴って水田の用水需要が変化しており、一部の地域で用水計画の見直しが求められている。見直しにあたっては、農業用水の利用実態を調査する必要があるが、対象エリアが広いと踏査による従来の方法では労力と時間がかかる。
農研機構は昨年、農業用水の利用実態調査の重要項目である「水田の代かき時期(取水開始時期)」を、地球観測衛星が観測した短波長赤外バンド(波長帯)のデータを利用して広域的・効率的に把握する手法を開発。作業手順を記したマニュアルを公表した。
同手法では、地球観測衛星が同じ場所を5日ごと(場所によっては平均3日ごと)に観測したデータのうち、晴天時に観測したものを複数用いて各観測日に各水田が湛水状態にあったか否かを判定し(湛水有無の判別)、各水田の取水開始時期を把握する。
今回、航空写真画像の目視判読結果と照合して精度検証を行ったところ、同手法の湛水有無の判別精度は97%と非常に高いことが分かった。
また、これまでは地球観測衛星による晴天時のデータしか利用していなかったが、今回地球観測衛星が観測した合成開口レーダのデータも利用できるようにした。
精度検証の結果、同データによる湛水有無の判別精度は79%とやや低かったが、同データは雲に影響されない。地球観測衛星による晴天時のデータが十分得られず、取水開始時期を細分化して把握できなかった場合、同データを補完的に用いれば、精度は落ちるが取水開始時期をより細分化して把握できる。
同手法は無償の衛星データを利用したもので、土地改良調査管理事務所や国営事業所などが、用水計画の見直しや利水調整のための農業用水利用実態調査で活用できる。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】ネギハモグリバエ・ネギアザミウマ 県下全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月30日
-
24年産米2.6万円に 有利販売に努め積み上げ JA茨城、異例の公表2025年6月30日
-
梅雨の晴れ間の「DZ作戦」で、猛暑下の畦畔除草を回避しましょう 北興化学工業2025年6月30日
-
水稲は"白未熟粒"に加えて"不稔"にも警戒 果樹は長期的な樹種転換も検討 農研機構2025年6月30日
-
茨城県厚生連の赤字19億円超 「診療報酬の引き上げ必要」 24年度決算2025年6月30日
-
全国の「関係人口」 約2263万人 国土交通省調査2025年6月30日
-
夏休みの思い出づくりに「こども霞が関見学デー」開催 農水省2025年6月30日
-
随意契約米 全国4万6000店舗で販売2025年6月30日
-
7月の野菜生育状況と価格見通し はくさい、キャベツ、レタス、ばれいしょ価格 平年下回る見込み 農水省2025年6月30日
-
再保証残高 過去最高の6兆9000億円台 全国農協保証センター2025年6月30日
-
【JA人事】JAみい(福岡県)平田浩則組合長を再任(6月27日)2025年6月30日
-
【JA人事】JAにしうわ(愛媛県) 新会長に井田敏勝氏2025年6月30日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(1)2025年6月30日
-
元卓球日本代表・石川佳純が全国を巡る卓球教室 岩手で開催 JA全農2025年6月30日
-
【役員人事】JA全農青果センター(6月26日付)2025年6月30日
-
第42回「JA共済マルシェ」を開催 令和6年能登半島地震・奥能登豪雨の復興応援 JA共済連2025年6月30日
-
福岡のいちじくレビュー投稿キャンペーン「博多うまかショップ」で実施中 JAタウン2025年6月30日
-
農福連携の現場に密着 YouTube番組「根本凪ノウフク連携中」配信 JAタウン2025年6月30日
-
【役員人事】農林中金総合研究所(6月27日付)2025年6月30日
-
クボタと酪農学園大学が包括連携協定 学術振興と地域活性化へ共創加速2025年6月30日