米の需要22万t減 落ち込み幅 前年の4倍-農水省2020年7月31日
農林水産省は7月30日に開いた食農審食糧部会に米の基本指針を示した。そのなかで元/2年(元年7月~2年6月)の需要実績は、前年の735万tから約22万t減少し速報値で713万tとなったことを明らかにした。
3月に策定した基本指針では需要量を727万tと見通していたが、14万t下振れした。最近は年間10万t程度の需要減少がトレンドとなっているが、その倍の減少幅となった。30/元年は735万tで前年より5万t減だったが、その4倍も減少したことになる。
6月末の民間在庫は前年から約12万と増加して201万tとなり、適正在庫量とされる180万tを上回っており、2年産米の作柄によっては米価の下落も懸念される。
農水省によれば大手事業者による令和元年産米の販売数量は新型コロナウイルス感染症の影響で家庭用需要が高まった2~4月を除けば、前年よりも動きが鈍い。中食・外食事業者向けは3月以降、前年同月比で10%以上も減少している。6月の販売数量は家庭向けも含めて全体で前年比97%となった。
最近の米需要の停滞要因について、農水省は人口減少を背景とする需要減少のトレンドに加え、平成29年産以降、相対取引価格が60kg1万5000円を超えて比較的高い水準となっていることから消費者や実需者が購入量を抑える傾向にあるのではないかと指摘している。
また、令和元年産米の需要減の背景は、昨年10月の消費増税で支出が抑えられ、イートインは10%に引き上げられた外食や税率は8%のままでも単価が高い精米商品が敬遠されたのではともみる。新型コロナの影響では外出、営業自粛による需要減もある。一方で、ネット販売での食料品購入も増えていることから、米消費全体の動向はしばらく動向を見極める必要があるとしている。
食糧部会に農水省は令和2/3年需要量(令和2年7月~3年6月)を最近のトレンドをふまえ715万tと示した。委員からはこの需要見通しについて、もっと厳しく検討する必要があるなどの意見が出た。
一方、2年産主食用米の作付意向調査によると、6月末現在で主産県を含めて25県が「前年並み傾向」と回答している。作柄が平年作であれば生産過剰となる恐れもある。一方で飼料用米については「減少傾向」の県が4月末にくらべて8県増加して28県となった。このため主食用米から飼料用米へ仕向け先を変更する取り組みが産地に求められている。農水省は飼料用米の取組計画書の提出を8月末まで延長しており、一層の仕向け先変更への取り組みを呼びかけている。
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