「デジタル土壌図」に新機能やデータを追加 農研機構 土づくりに役立ててと2020年8月18日
農研機構は、データ活用型の土づくりの実践に役立ててもらおうと、同機構がWebで公開している「デジタル土壌図」に新たな機能やデータを追加した。新機能を活用することで簡単に有機質資材の投入量などが計算できるツールで、全国およそ3500地点の土壌断面調査データも追加されている。
日本全国の土壌の種類や分布が分かる「デジタル土壌図」を作成し、日本土壌インベントリー(下記にリンク)を通じてWeb配信を無料で行ってきた農研機構のツール改善が今回の取り組み。8月7日から公開されている。
改善のポイントは、デジタル土壌図に新機能を追加したことと、全国約200地点の土壌温度や水分の日々の推定値、さらに全国約3500地点の土壌断面調査データを追加したことの2点。
同機構が2017年4月からホームページ上の日本土壌インベントリーを通じてWeb配信している「デジタル土壌図」へのアクセス数はすでに15万件を超えているが、営農指導などの現場でより利便性を高める目的で新たな機能の追加などを行ったもの。
新たな機能である「土壌有機物管理ツール」は、土づくりの指標となる土壌中の有機物含有量が、たい肥の施用によりどの程度変化するかを計算できるツールだ。土壌図の上で地点を選択し、栽培する作物やたい肥等の施用量、緑肥作物などの情報を入力すると、土壌有機物含量の年間増減量を計算することができ、土壌中の有機物を増やすことで二酸化炭素を土壌中に貯留すれば地球温暖化に貢献できる副次的な効果も得られる。
一方、追加したデータベースは全国およそ200地点における深さ(1cm、5cm、10cm、20cm、)ごと、1日ごとの土壌温度と土壌水分の平年推定値で、緩効性肥料や施用有機物の肥料成分の溶出パターンの把握などで活用が期待できる(農研機構)としている。
合わせて公開された全国約3500地点の土壌断面調査データは、深さ約1mまでの土壌層位ごとの土壌特性値などを閲覧が可能で、施肥設計や栽培管理などに活用できる。
およそ25~60年前に行った断面調査のデータであるためその後の土壌管理によって多少の変化は見込まれるが、磔含量、粒径組成、塩基置換容量(CEC)、リン酸吸収係数などの土壌特性値は土壌管理による変化を比較的受けにくい数値であり、現状の近似値として参考になる。
同機構は今後、デジタル土壌図の更新体制の構築や広域での土壌温度・水分量のリアルタイム予測システムの開発を行っていくとしている。
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