CSF(豚熱) 引き続き警戒を-農水省2020年9月2日
農林水産省は9月1日、CSF(豚熱)・ASF(アフリカ豚熱対策本部)を開き、最近の情勢をふまえて今後の対応を決めた。CSFは3月の沖縄での発生を最後に飼養豚では発生していないが、江藤拓農相は「今後も発生させないためには引き続き緊張感を持って取り組みを維持しなければならない」などと述べた。
日本 3日から非清浄国に
CSF(豚熱)は2年前の2018年9月9日に岐阜県で発生して以来、愛知県、三重県、福井県、埼玉県、長野県、山梨県、沖縄県の8県で58事例発生した。これにともない約16万6000頭を殺処分している。農水省は2019年9月24日にワクチン接種を決定し、10月25日から接種を開始した。
本州では2019年12月17日に愛知県での発生が最後となっている。また、沖縄県では今年3月12日の発生が最後となっている。わが国はCSFについて2007年4月から自己清浄化宣言し2015年からOIE(国際獣疫事務局)が公式認定をしていた。しかし、2018年9月の発生を受けて最長2年の一時停止となっている。そのため9月3日に清浄国のステータスを失う。
農水省は清浄国ステータスの再取得をめざす。
そのメリットとして米国・EUなど新たな輸出先の開拓につながることと、非清浄国からの輸入解禁の要請の受け入れ拒否の根拠にもなることを挙げる。農水省は「自ら努力している場合は輸入制限をかけることができることが認められている」と説明する。
清浄国の要件は▽過去12か月間、飼養豚でCSFの発生がない、▽過去12か月間、飼養豚へのワクチン接種が行われていない(マーカーワクチンを除く)、▽過去12か月間、飼養豚でサーベーランスが実施されている、▽感染野生イノシシが国内にいる場合、飼養豚と野生イノシシの群が適切な措置によって分離されている、などだ。
ステータス再取得へ対策
ただ、日本では野生イノシシでCFSが発生しているため野生イノシシのCSFを撲滅する前に、ワクチンを接種を終了することはできない。そのためワクチン接種による抗体であることが識別できるマーカーワクチンに切り替える必要がある。ただし、米国企業のマーカーワクチンを評価したところ、効果や安全性はあるものの、マーカーワクチン接種豚か、野生株の感染豚かを識別することはできないことが判明し、今年度から国産のマーカーワクチンの開発に向け研究を開始した。
また、ワクチン接種に関わらず、野生イノシシから遮断するため飼養衛生管理基準の遵守徹底が引き続き求められる。
同時に野生イノシシの捕獲強化や、経口ワクチンを有効性をふまえて適切に散布していく。CSF撲滅後もサーベイランスは一定の頻度で継続することにしている。
飼養豚への予防的ワクチン接種は8月に福島県が推奨地域に指定され、現在25都府県となっている。この25都府県では野生イノシシ対策のサーベイランス強化地域となっている。このうち沖縄と福島を除く23都府県で約60万個の経口ワクチンを散布した。自衛隊ヘリコプターで空中散布の実証試験を実施し、それをもとに散布マニュアルを作成し民間企業向けの説明会も行った。
野生イノシシは17都府県で陽性例が発見され、8月26日現在、1万6000頭に抗体検査を3300頭が陽性で陽性率は20.8%となっている。また、経口ワクチンでも国産の開発を推進する。
飼養衛生管理対策の徹底を軸とした清浄国ステータスの再取得に向けた取り組みは、「ASF(アフリカ豚熱)対策にも通じるもの」と農水省は位置づける。ワクチンが存在しないASFはアジア13か国・地域にまで感染が拡大しており「依然として警戒する必要がある」と江藤農相は強調した。
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