農業景況DIマイナスに 日本金融公庫・農業景況調査 コロナ禍の影響が深刻2020年9月4日
新型コロナウルス感染症拡大は、日本の経済に深刻な影響を与えているが、農業も例外ではない。日本金融公庫の農業景況調査によると、単価安による売上高の減少が半数近くを占め、農業の景気動向を判断する指数(DI)はマイナス25.9で大幅な悪化となった。特に茶、肉用牛、施設花きが大幅なマイナス値になっている。また、生産者は「コロナ支援関連情報」を最も求めていることが分かった。
コロナ禍でマイナスの影響が大きい肉用牛
調査の対象はスーパーL資金または農業改良資金の融資先で、5464の有効回答を分析した。その結果、令和2年上半期の農業景況DIはマイナス25.9で、前年実績のプラス6.0から31.9ポイントの大幅低下となった。令和2年通年の見通しは、さらに16.1ポイント悪化し、マイナス42.0と、マイナス値が続く見通しを示している。
一方、収支DIは養豚以外の全業種でマイナスになったが、特に茶(マイナス85.0)と肉用牛(同81.7)、施設花き(同67.9)は大幅なマイナス値となった。ただ、養豚は前年のマイナス7.8からプラス31.6となり、大幅に改善した。このほか、生産コストDI、雇用状況DIは引き続きマイナス値が続き、特に労働力不足が深刻になっている。
資金繰りも悪化しているが、設備投資では、総じて積極的な姿勢がうかがえる。今年の「設備投資の予定あり」の比率は57.3%で、過去10年間で最高値となった。投資額も「前年より増加と「前年と同じ程度」を合わせると8割を超えている。
コロナ禍支援の情報を
新型コロナウイルス感染症拡大による影響は49.5%が「マイナスの影響」を挙げている。「ほぼ影響はない」は約3分の1を占めた。マイナスの影響は売上高に現れており、肉用牛の95.6%が最も高く、次いで茶(91.0%)、施設花き(83.2%)の順だった。養豚は「プラスの影響がある」が33.2%と他業種に比べて高かった。
売上高減少は「単価・相場の下落」68.4%が最も多く、次いで「既存の販路・出荷ルートの縮小・停止」(32.9%)、「消費者への直接販売の縮小・休業」(24.2%)が続く。業種別では特に茶、施設花き、酪農、肉用牛、採卵鶏が単価・相場下落の影響を強く受けている。
一方、コロナ禍に対する課題では、46.0%が「コロナ支援関連の情報収集」を挙げており、設備投資や運転資金の確保、雇用維持、労務管理などがこれに続く。茶では「販路の回復」、稲作(北海道)および畑作の「資材、原料仕入れの安定化」、果樹の「販売方法の多様化」、きのこおよび施設野菜の「雇用維持、人材確保・育成」の回答割合が、他業種に比べ、高かった。
※「農業景況DI」とは、景気の判断指数のことで、「景気が良い」と感じている経営体の割合から、「景気が悪い」と感じている経営体の割合を引いたもの。DIの数値は50が横ばいを表し、これを上回ると「景気が良い」、下回ると「景気が悪い」と感じる経営体が多いことを示す。
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