トビイロシワアリの食害痕確認 福島県 トマトでは日本初2020年9月18日
福島県病害虫防除所は、トマトへの加害が日本では未確認のトビイロシワアリの食害痕を夏秋トマトのほ場で確認した。そのため9月15日に特殊報を発信した。
トビイロシワアリの側部
![被害を受けたトマト株](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous20091824_2.jpg)
県中地方の夏秋トマト(雨除け栽培)ほ場で萎凋、枯死する株をハウスの一部でこの8月に発見したのがきっかけ。地際に寄生しているアリ類や食害痕を確認した。
そのアリ類を採取し、横浜植物防疫所に同定依頼を行った結果、福島県では被害が未確認のトビイロシワアリと同定されたもので、トマトへの加害は日本で初確認となる。
これまでに福岡県、千葉県、広島県、香川県、佐賀県、長崎県、山口県、滋賀県、群馬県、茨城県、静岡県、埼玉県、長野県、新潟県、東京都、石川県および神奈川県の17都県でキャベツ、ブロッコリー、ナスなどへの被害報告は上がっていた。
本土で普通にみられるアリの一種で、どちらかというと乾燥を好み、日当たりのいい裸地や植物の根元、石の下などに巣をつくり、食性は雑食性で、植物の甘露、種子、樹液、昆虫などを食べるという。
今回食害痕を発見した雨除け施設は、定植直後から灌水が控えられていため土壌が乾燥、根張りが十分ではなく、そうした状況で食害が加わったことで株が死んでしまう被害が生じたと同防除所では推測している。
現時点でトマトなどへの登録農薬はないため、深耕、ほ場周辺の除草や灌水による巣の破壊など、物理的・耕種的防除に務め、灌水などで作物の活着および生育を促進して被害軽減を図るよう促している。
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