農作物の鳥獣被害158億円 農林水産省2020年9月28日
農水省農村振興局がこのほどまとめた鳥獣被害の現状と対策によると、平成30年度の野生鳥獣による農作物の被害額は158億円に上った。そのうち約7割をシカ、イノシシ、サルによる被害が占め、被害面積はシカによるものがおよそ4分の3を占めている。
鳥獣被害は営農意欲の減退はもとより、耕作放棄や離農のきっかけ、さらには森林破壊につながることで土壌流出や希少植物の食害を引き起こす。人が運転する車両との衝突事故なども起きており、被害額として表に現われる数字以上のダメージが農山漁村にもたらされていると言われる。
主な対策は「捕獲」と「処分」。なかでも生態系に深刻な被害を及ぼしているシカやイノシシなどの野生鳥獣は10年後の「半減」が目指され、捕獲強化に向け国がバックアップして専門人材の育成を急いでいる。
さらに、所管する農水省と環境省が現場に最も近い市町村を通じて駆除経費や効果的駆除に必要な調査・研究費を交付したりして取り組みを進めているが、負担が大きい捕獲作業は猟友会に所属する狩猟者頼みの面があり、狩猟免許所持者の減少や高齢化の進行で先行きを危ぶむ声も強い。
捕獲した鳥獣の処分の仕方について12市町に尋ねているが、焼却施設がなく埋設処分のみと4市町が答えている。焼却できても大型獣を焼却施設まで運び解体する負担が大きいといった意見もあったと紹介している。
処分にかかる負担軽減など処分の効率化が求められている一方、食肉としての利用は依然わずかだという現状も浮き彫りになっている。平成27年度の食肉加工施設での加工頭数は少数にとどまり、茨城県内(1施設)5頭、栃木県内(1施設)193頭、埼玉県内(2施設)194頭、長野県内(28施設)2310頭のみ。
欧州では貴族の伝統料理と位置付けられる「ジビエ」料理としての消費にも処分の一環として期待がかかっており、捕獲→処理加工→供給→消費のサイクルを上手に回したジビエ需要の開拓・創出も一つの課題。食の安全を確保するためのガイドラインや認証制度などを用いた取り組みのスキームも描いている。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日