ホモプシス根腐病菌が新発生 北海道が特殊報2020年10月6日
北海道病害虫防除所は10月1日、ウリ科農作物の土壌伝染病であるホモプシス根腐病菌が道内で初めて発生したことを確認し、特殊報を発信した。
![果実肥大期にしおれたメロン](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous20100623_1.jpg)
空知地方の複数地点で今年7月下旬から8月上旬にかけ、きゅうりとメロンの株が急激に枯れ上がる症状が確認されたのが端緒。上部繊維管の褐変やヤニの噴出が見られなかったため「つる割病」や「つる枯れ病」は疑われず、一部には生理障害だとする判断もあった。
発生株の毛細根を中央農業試験場で確認した結果黒い筋のような偽子産を確認。その時点でホモプシス根腐病が疑われたが、糸状菌を分離してPCR検査を行ったところホモプシス根腐病菌であると同定されたもの。
糸状菌の一種であるホモプシス・スクレロティオイデスによってウリ科作物に引き起こされる土壌伝染病害がホモプシス根腐病で、この病気に感染すると地上部が激しくしおれて枯死症状を発症し、果実の収穫が著しく減少する。
土壌に移殖した直後は異常は見られず、果実が大きく肥大する時期や収穫開始後など着果負担がかかる時期に株が急激にしおれて枯れ上がる。
病原菌が感染した毛細根に褐変および黒色構造(偽子産)がみられるのも特徴の一つ。
![毛細根に生じた黒色構造](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous20100623_2.jpg)
同病原菌は、1983年に埼玉県の施設栽培きゅうりで発生が確認され、90年代は関東地方で多く発生。その後2000年代になると東北地方に発生が拡がり、露地栽培きゅうりはとりわけ甚大な被害を受けた。
しおれ症状が見られなくても、周辺のほ場は汚染されているケースが多いとされる。
この根腐病に対する試験事例は道内にないため、農研機構東北農業研究センターが2013年2月にまとめた関連マニュアルに示された対策を示している。
それによると、きゅうりのしおれが軽微な場合、転炉スラグを土壌に混ぜることでph7.5まで改良すると被害を軽減でき、カボチャ台木を利用するなどとしている。また、夏季に土壌還元消毒を行うと高い防除効果が得られ、栽培終了後の根をできるだけ土壌中に残さず処分することも有効である。
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