酒造好適米 大幅供給過剰-農水省2020年10月16日
農林水産省は7月に実施した酒造好適米の需要量調査をまとめた。コロナ禍で業務用日本酒の出荷が減少している影響もあって大幅な供給過剰となる見込みで生産抑制が必要になっている。
調査結果によると、令和元年産の酒造好適米の需給は1万3000t~1万5000t程度の供給過剰になっていると推計。令和2年産については、全体需要量が令和元年産の生産量の▲2万3000t(▲24%)と大幅に減少しているため、大幅な供給過剰となると見込まれる。
令和3年産で全体需要量と同水準の生産量とするためには7万t~7万2000t程度の生産量とする必要がある。これは令和元年産の生産量の▲2万6000t(▲27%)と大幅に生産抑制することになる。また、令和2年産で大幅な在庫増加が見込まれることから需給均衡にはさらに大幅な生産抑制が必要としている。
農水省は日本酒の国内外での円滑な出荷・販売のためには、原料となる酒造好適米について需給均衡を図り産地と実需者で安定取引を図っていくことが重要だとしている。そのため令和3年産については、播種前に生産者と実需者が契約したり複数年契約の取り組みを拡大することが重要だと呼びかけている。本紙の取材では北陸のJA担当者から「(作付け後の今年)6月に需要減を見越して酒米を米粉用に用途変更した」との声が聞かれた。
酒造メーカーへの調査では令和3年産酒造好適米の需要見込みは、合計で5万6000tと平成30年産にくらべて▲19%と大幅に減少する結果となった。コロナ禍の影響で業務用の日本酒を中心に国内出荷量が減少し輸出も大幅に減少していることが原因と考えられている。
日本酒の国内出荷量は平成10年には113万klだったが、20年には65万9000klと6割近く減少し、30年には49万5000kl、令和元年は46万7000klとなった。令和2年1~8月では対前年同期比87%で、このうち山田錦や五百万石など酒造好適米を多く使用する特定名称酒(吟醸酒、純米吟醸酒など)が同82%と大きく減っている。
一方、日本酒の輸出は海外での日本食ブームなどを背景に増加傾向にあり、日本酒の全出荷量に占める輸出量の割合は約5%にまで増加してきた。しかし、令和2年は世界的なコロナ禍で輸出数量が対前年同期比▲31%と大きく減少している。
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