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野上農相、小泉環境相が連携合意-脱炭素で地域活性化2020年10月23日

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野上浩太郎農相と小泉進次郎環境相は10月23日、「コロナ後の経済社会の再設計に向けた『農林水産省×環境省』の連携強化に関する合意」文書を交わした。農水省は農業の生産力向上と持続可能性を両立させる「みどりの食料システム戦略」の策定することにしており、一方、環境省は地域資源を活かした自立・分散型社会である「地域循環共生圏」の創造に取り組んでいることから、これらをさらに発展させるため両省で一層の連携強化を図ることにした。

合意文書を手にする野上農相(右)と小泉環境相合意文書を手にする野上農相(右)と小泉環境相

菅総理は政権発足以来、縦割打破、前例踏襲打破を掲げているが、閣議の前後に各大臣間での話し合いも行われている。今回は小泉環境相から野上農相に働きかけ、連携強化に合意した。大臣同士が合意文書を交わすのは初めてだという。

小泉環境相は農林水産行政と環境行政は「親和性が高く密接な関係にある。(連携強化に向けて)野上大臣に前向きに受け止めていただいた。意義深いこと」と話し、野上農相は連携による取り組みを、生産性向上と持続可能な食料供給システムをめざす「みどりの食料システム戦略に反映させていきたい」と話した。

農水省は大臣官房環境政策課などが中心となり、これまでも気候変動問題などで環境省と連携をしてきたが、両省職員は「トップ同士が合意すればスピードや決意は格段に違う」として、これまでに両省で関わりがなかった政策や部署でも連携が進むという。

合意文書は総論で農林水産業は生産者の減少と高齢化、地域の衰退といった課題に加えて、コロナ危機と気候危機の2つに危機の直面していることを指摘。一方、気候変動や海洋プラスチック問題への対応や、自然資源を活かした観光振興など国土・地域づくりを進めていくためには農林水産政策と環境政策との緊密な連携が不可欠と強調した。

今回の連携によって具体的には▽脱炭素社会への移行、▽循環経済への移行、▽分散型社会への移行をめざすとともに、来年開催が予定されている気候変動COP26や生物多様性COP15など国際交渉で連携する。

脱炭素社会への移行では、昨年6月に閣議決定したパリ協定に基づく長期戦略のなかでに盛り込まれている農林水産業における2050年CO2ゼロエミッションめざし、再エネの導入促進を含む食とエネルギーの地産地消、バイオマスエネルギーの利用促進などで連携協力する。また、環境省は庁舎で2030年までの再エネ100%調達をめざしているが、農水省庁舎でもこの実現に向け検討を進める。そのほか庁舎などの木造化、木製品の利用など率先して取り組む。

小泉農相は「こうして合意書を交わし農水省も政府全体のなかで(脱炭素社会に向けた)メインプレーヤーに加わってくれた。ますます連携を深められることを楽しみにしている」と述べ、野上農相は「スピード感を持って進めることができる」と話した。

循環経済への移行では、食品ロス削減や、海洋プラごみ問題では漁業者と地方自治体が協力する取り組みを連携して推進する。分散型社会への移行では、国立公園や温泉地帯と農山漁村が連携してワーケーションなどの推進や、農山漁村での鳥獣被害の軽減、人材育成などを連携して進める。そのほか働き方改革や広報戦略でも連携する。

小泉環境相は農林水産省が2050年までにCO2ゼロとする目標をすでに掲げていることはあまり知られておらず「政府全体として実現すれば日本の農林水産業への評価が高まり輸出拡大にもつながる」と話した。

また再生可能エネルギーの利用は早くかたちにできる取り組みだとして、バイオマスなど地域資源を活用した再生エネルギー利用は「間違いなく地域活性化になる。農協も含めてメインプレーヤーになれる可能性がある」と強調した。

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