「ビワキジラミ」の発生を県内で初確認 岡山県2020年10月27日
岡山県病害虫防除所はビワキジラミの発生を初めて確認したことを受け、10月23日に令和2年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表した。
ビワキジラミ成虫
今年10月1日に岡山県南部のビワ成木の葉上に、キジラミ類と思われる成虫の寄生を確認した。成虫を採集し、神戸植物防疫所に同定を依頼したところ、同県未発生のビワキジラミと判明。国内では、平成24年に徳島県で初めて発生が確認され、その後、香川県、兵庫県及び和歌山県で発生報告がある。
成虫は小さなセミのような外観をしており、発生時期によって体サイズや色彩がやや異なる。4~6月に発生する春夏型は、小型(成虫の全長:2.3~3.2mm)で体や前翅外縁に淡黄褐色の斑紋がある。11月~翌3月に発生する秋冬型は、春夏型より大型(成虫の全長:3.0~3.8mm)で体や前翅外縁の斑紋が濃くなる。いずれの季節型も胸部に黄白色の縦条や小斑紋があり、頭部や腹部はしばしば緑色を帯びる。触角の長さは頭幅の0.8~1.2倍と日本産の同属他種より短い。幼虫は扁平で、淡い黄褐色~黄緑色をしており、腹部の一部や翅芽(羽になる部分)などは褐色。
同虫は年間に5世代程度繰り返すとみられ、季節によって密度の増減はあるが、年間を通じてビワ樹に寄生。成虫は5~6月頃に多発生し、葉裏の主脈にそって群生するが、7月中旬~8月の盛夏期には樹幹部の日陰に入り休眠状態となり、枝先の葉上ではほとんど見られなくなる。
秋は9月以降に活動を再開し、10月下旬以降に秋冬型成虫が現れ、以後は樹上ですべての生育ステージが確認される。翌春までは比較的低密度のまま花房や幼果に寄生し、気温の上昇とともに徐々に密度を増し春季に多発する。
幼虫は花芽の基部や果梗、芽鱗の下などの隙間に寄生して吸汁し、甘露や白色ロウ物質を排出する。同種による被害は果実肥大期から成熟期に見られ、果実や葉の表面に付着した甘露に激しいすす病が発生する。
防除対策では、葉裏に寄生した成虫やすす病の発生を目印に早期発見に努め、秋以降はビワの花芽に産卵し、翌春まで花芽や幼果の上で数世代繰り返すため、発生が多くなる秋期から袋掛け作業前までに適用のある薬剤を散布する。
枝葉表面を覆う微毛が薬剤をはじき、花芽基部などの隙間に隠れている幼虫に薬剤がかかりにくいことから、薬剤使用については展着剤を加えて、丁寧な散布を心がけるよう注意を促している。
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