ブルーベリーに国内初のカイガラムシ2種を確認 愛媛県2020年10月27日
愛媛県病害虫防除所は、ブルーベリー枝に寄生するナシシロナガカイガラムシとミカンマルカイガラムシを確認し、10月23日に病害虫発生予察特殊報第1号を発表。ブルーベリーでの寄生確認は国内では初めて。
ナシシロナガカイガラムシ(左:枝への寄生状況 右:雌成虫)
今年2月にブルーベリー枝に寄生するカイガラムシ2種が確認された。愛媛大学農学部客員研究員の田中宏卓氏に同定を依頼したところナシシロナガカイガラムシとミカンマルカイガラムシと確認。両種とも国内に広く分布し多くの樹木類等に寄生する在来種で、県内でもこれまでに多くの果樹で寄生が確認されているが、ブルーベリーでの寄生は国内でも初確認となる。
ナシシロナガカイガラムシの雌成虫の介殻は、細長く白色で長さは約3mm、介殻の色は白色だが古い介殻は表面の分泌物がはがれ、光沢のある赤褐~暗褐色のキチン化した2齢脱皮殻が露出することが多い。雄の介殻は雌に似るが小型である。
寄主植物はナシ、クリ、ウメ、サクラ、ボケ、ハゼノキ、アカメガシワ、ケヤキ、イヌツゲ等極めて多食性で、針葉樹類を除く雑多な樹木類に寄生する。年1回の発生で2齢幼虫で越冬し、4月中~下旬に成虫となり、成熟した後産卵を開始する。ふ化幼虫は5月下旬~6月に現れる。
ミカンマルカイガラムシ(左:枝への寄生状況 右:雌成虫)
被害の特長として、幼虫と雌成虫が枝、幹に寄生する。ナシ等では多発すると枯死枝や枯死株が生じる。
ミカンマルカイガラムシの雌成虫の介殻は、ほぼ円形で大きさは約3mm、介殻の色は紫褐~暗灰褐色。雄幼虫の介殻は小型、楕円形で偏平。
寄主植物はカンキツ類、ナシ、カキ、ヤマモモ、カシ類、シイ、ツバキ、サザンカ、ヒイラギモクセイ、チャ等極めて多食性。年2回の発生で雌成虫で越冬し、第1世代ふ化幼虫は5月下旬頃から現れ、6月中旬に発生最盛となる。第2世代は8月下旬~9月上旬頃から現れ、9月中~下旬に発生最盛となる。
幼虫と雌成虫が主に枝、幹、まれに葉面や果実にも寄生する。カンキツ類等では多発すると生育は衰え枯死枝を生じ、幼木では枯死する。
防除対策として、冬期にマシン油乳剤を散布する。生育期にはカイガラムシ類に適用のある薬剤を散布する。ただし、成虫に対する防除効果は低いため、必ず幼虫期に行う。 今回確認された園地で天敵(寄生蜂)の寄生を確認しており、天敵の防除効果は高いと考えられることから、不用意な薬剤散布は控え天敵の保護を図ることを推奨している。
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