シソ苗立枯病が新たに発生 山口県2020年10月27日
山口県病害虫防除所はPythium属菌によるシソ苗立枯病(仮称)の発生を10月2日に萩市で確認。これを受け、10月22日に令和2年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表した。
苗の立枯れ症状
同市で育成中のシソの苗において、根部から地上部にかけて水浸状に腐敗し倒伏する症状が確認され、山口県病害虫防除所で診断を行ったところ、Pythium属菌による立枯れ症状と判明した。
菌を分離し、大阪府立大学の東條元昭教授に同定依頼を行った結果、国内ではきゅうり、さといも、トマト等で発生しているが、シソにおける発生報告の無いPythium myriotylumと同定された。
罹病植物上に発生した菌叢
同病の特長として、育苗初期に茎の地際部が水浸状に腐敗して倒伏する。多湿の場合、被害部には白色綿毛状の菌叢が発生する。病原菌は糸状菌の一種で卵菌類に属し、耐久体として卵胞子を形成。また、遊走子嚢のうから球嚢と呼ばれる器官を形成し、その中に作られた遊走子を放出し感染が拡大する。最適生育温度は35℃~38℃。宿主であるP. myriotylum の宿主範囲は広く、野菜類、花き類等の多くの作物を侵す。
罹病組織中に形成された卵胞子
今後の防除対策では、育苗用資材を次亜塩素酸カルシウム剤等で消毒を行う。育苗には無病培土を使用し、外部からの菌の持ち込みがないよう栽培環境に注意し、施設が高温・多湿にならないよう換気することを呼びかけている。
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