日本なしにニホンナシハモグリダニを初確認 秋田県2020年10月29日
秋田県病害虫防除所はニホンナシハモグリダニ(仮称)の発生を受け、特殊報第3号を10月23日に発信した。
日本なし樹の被害状況
7月に県南部の果樹園で葉に火ぶくれ症状が発生している日本なし樹(品種:幸水、あきづき)数本を発見。同樹から検体を採取し、法政大学植物医科学センターに同定を依頼したところ、表面が褐色化している火ぶくれの内部にダニが確認され、ニホンナシハモグリダニ(仮称)と同定された。 国内における本種の発生は神奈川県、長野県、栃木県で確認されているが、秋田県における発生は初めて。同県では平成29年に西洋なしでも葉に火ぶくれ症状を引き起こすセイヨウナシハモグリダニ(仮称)の発生が確認されているが、この種とは別種となる。
ニホンナシハモグリダニ(仮称)(左:実体顕微鏡撮影 右:電子顕微鏡撮影 武井氏原図)
成虫は体長約0.2mmで淡黄色のうじ虫型、卵は球形半透明である。生態については明らかにされていないが、神奈川県の病害虫発生予察特殊報によると、同種は芽の中で越冬し発芽とともに芽から脱出し、葉に火ぶくれ症状を引き起こす。火ぶくれの内部に生息するが、暖かい時期には葉裏の開口部から外に出て新たな被害を及ぼすと推察されている。
葉ではやや膨らむ火ぶくれ症状を呈し、被害が進むと黄色~暗褐色となる。果実では両品種とも、7月から収穫直前までの間は火ぶくれ症状は観察されなかった。なお、長野県の病害虫発生予察特殊報では、幼果に葉と同様の火ぶくれ症状が形成されるが内部に虫体は確認されず、成熟果実の被害症状は確認されていない。 宿主範囲は日本なし。防除対策としては、火ぶくれ症状のある葉を摘み取り埋却するなどして処分する。同種の被害拡大を防ぐため、発生園地での穂木の採取は行わないことを挙げている。
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